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進化の魔王と覚醒の覇王。 ~転生する前から世界最強~  作者: とらじ
アルバレンティア王国と神聖教会編
194/1634

戦闘終了

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

隔日で更新できるように頑張ります。

 片方が白旗を上げて、もう片方がそれを受け入れるという、誰もが想定していなかった形で竜との戦闘が終結したわけだが、これですべての問題が片付いたわけではない。


(そうだ。ライカはどうしてる?)


 俺はオルツに重傷者がいる旨を伝えて、砦から担架を持ってきてもらった。


 そして、担架を担いで護衛の兵士のところに戻ると、遠くから戦闘の様子を見ていたらしい強硬派の男に呼び止められた。


「ちょっと待て! なぜ、竜との戦闘を中断した!? 優勢だったのではないのか!? なぜ、竜はおとなしくしている!?」


「うるさい。後で説明してやるから黙っていろ」


 強硬派の男を押しのけて、リッタの傍らに座り込んでいるライカの様子を窺う。


 リッタはぼんやりと中空を見上げていたが、俺が近づくと視線を向けてきた。


「おお……勇者殿」


「何とか助かったみたいだな。出血が止まったか」


「その……ようです。死に損ないました」


「高級回復薬まで使ったのに、死なれたら困るっつーの」


 顔色は悪いが、意識はしっかりとしているようだ。


 俺は安心して、傷口に手を添えているライカの横に座り込んだ。


「ライカ、もういいぞ。峠は越えた。リッタは大丈夫だ」


「覇王丸さん……?」


 余程、一心不乱に祈っていたのだろうか。ライカは声を掛けられるまで俺の存在に気が付かなかったらしい。その額には、珠のような汗が浮かんでいる。


「頑張ったな」


 俺が頭を撫でながら労いの言葉をかけると、ライカはにこりと微笑んで、そのまま俺の体に倒れ込んできた。


「ライカ!?」


「ごめんなさい……。ちょっと、力が抜けてしまって……」


 どうやら、立ちくらみのようなものらしい。


「いいよ。そのまま休んでろ」


 慌てて立ち上がろうとするライカを制して、そのまま背負ってやる。血で汚れているからとライカは遠慮したが、そんなことは関係ない。


 ヒナが羨ましそうな視線を向けてきたが、二人同時におんぶはできないので、我慢してもらった。


「担架を持ってきたから、リッタをこれで運べ。砦がすぐそこだけど、まあ、麓の村に連れて行った方がいいだろう。ただ、竜のこととか、いろいろ説明することもあるから、半分はこの場に残れ」


 俺は駐留部隊を二つに分けると、半分はリッタを連れて麓の村に戻るように指示し、残りの半分には後ろから付いてくるように促した。


     *


 まず、俺は「翻訳の奇跡によって竜と会話できる説」を検証するため、ヒナに竜と会話をさせてみた。


「ヒナです! こんにちは!」


「アイサツ? ……コンニチハ」


 俺が大丈夫だと保証しただけでいきなり警戒心ゼロになったヒナに、逆に竜の方が戸惑っているが、どうやら問題なく意思疎通はできるらしい。


「やっぱり、ヒナも竜と喋れるみたいだな」


「乗りたい! ヒナ、竜さんの上に乗りたいです!」


「落ちると危ないから、また後でな」


 テンション爆上がりのヒナを宥めつつ、情報を引き出すために竜に話しかける。


「まず、そうだな。なんで、急に降伏したんだ?」


「ワタシ、セナカ、イタイ……。コノママ、カテナイ、オモッタ。ダカラ、コウフクシタ」


「降伏するくらいなら、なんで攻撃してきたんだよ。俺たちを食おうとしたのか?」


「チガウ。カネ、ナッタラ、コウゲキシロ、メイレイサレタ」


 竜の言葉に、俺とゲンジロウ爺さんは思わず顔を見合わせた。


 隣では、ヒナが通訳として竜の言葉を獣人や駐留部隊に伝えてくれている。同じことをいちいち説明し直さなくてよいので、非常にありがたい。


「命令とは……いったい、どういうことだ?」


「お前、誰に命令されたんだ?」


 オルツの疑問をそのまま竜にぶつけると、竜は驚きの答えを返してきた。

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