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進化の魔王と覚醒の覇王。 ~転生する前から世界最強~  作者: とらじ
アルバレンティア王国と神聖教会編
192/1642

勇者VS竜

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

隔日で更新できるように頑張ります。

 ゲンジロウ爺さんは、竜と獣人たちの間に立ちはだかり、時間を稼いでくれていた。


 翼を傷付けられたことで、竜は長時間の飛行ができなくなったようだ。


 地面に四肢を着き、ゲンジロウ爺さんと対峙している。


(改めて見ると、かなりデカいな)


 以前、大森林で巨大熊を退治したことがあったが、その比ではない。


 大型トラックよりも、一回りか二回りほど大きいのではないだろうか。


 目を凝らせば、竜は体のあちこちに斬り傷を負っていたが、巨体故に深手にはならず、致命傷には程遠いようだ。


「爺さん!」


 俺がメイスを握りしめながら接近すると、ゲンジロウ爺さんは目線を動かさずに、手だけを動かして、竜の死角に回り込むように指示を出した。


 その時、竜は大きく息を吸い込み、風の魔法が込められた咆哮を放った。


 鼓膜に突き刺さる耳鳴りと、振動が、近くにいる俺にも襲いかかる。


 正面にいるゲンジロウ爺さんたちは――――


 無傷だった。


 どうやら、風圧と衝撃はゲンジロウ爺さんが風の魔法で中和したようだ。


 だが、人間よりも聴覚の優れた獣人たちは、鼓膜を震わせる振動の方に大きなダメージを受けたらしい。


 嵐が過ぎ去った後、その場に立っているのはゲンジロウ爺さんだけだった。


「この野郎っ!」


 俺は竜の側面に移動すると、無防備な脇腹を目掛けて、メイスを思い切り叩きつけた。


 相手が人間なら、ほんの一歩、後ろに下がるだけで避けられてしまうような大振りだが、巨大な竜が相手ならその心配はない。


 はたして、渾身の振り下ろしは竜の硬い皮膚を突き破り、肉を裂き、メイスの重りの部分が体にめり込んだ。


 さすがに痛みを覚えたのか、竜が呻くような声を漏らす。


「覇王丸! 踏み潰されるなよ!」


「そんなヘマはしねーよ!」


 俺のいる脇腹の近くは、体の構造上、竜には攻撃する手段が無い。


 できるのは、足を動かして踏み潰すくらいだが、俺もゲンジロウ爺さんもそれは想定済みだった。


 竜の注意が俺に向いた瞬間、ゲンジロウ爺さんは前に飛び出して、日本刀で斬りつけた。


 あんなにスパスパと斬りつけて、よく刃こぼれしないものだと感心するが、刀身がまったく汚れていないところを見ると、風の魔法でコーティングをしているのかもしれない。


(万能すぎるな)


 俺も土の魔法ではなく、風の魔法を選択すべきだったかもしれない。


『土の魔法だって使えないくせに』


(うるせー!)


 俺は竜の注意が再びゲンジロウ爺さんに向けられたのを確認して、メイスをもう一度、同じ箇所にめり込ませた。


「これで終わりじゃねーぞ!」


 更に、俺はメイスの一撃で空いた穴に足を引っかけて、竜の背中によじ登った。


 狙うは首から尻尾にかけてのライン――――ずばり背骨だ。


 この世界の竜を爬虫類に分類してもよいのかは疑問だが、見た目からして、脊椎動物であることは間違いないだろう。


 それならば、背骨は比較的守りの薄い箇所。絶対的な急所のはずだ。


「食らいやがれっ!」


 振り落とされないように鱗に指を引っかけて、正中線のあたりにメイスを振り下ろす。


 二度、三度と、メイスを体にめり込ませると、竜は今までに聞いたことのない大きな声を上げた。


 威嚇ではない。これは悲鳴なのだと、攻撃を加えている俺にははっきりと分かった。


「うおっ!?」


 突然、突風がうなりを上げて俺に襲い掛かった。


 どうやら、空を飛べないまでも俺を振り落とそうと、風の魔法を発動させているようだ。


「覇王丸! しがみ付け! 絶対に振り落とされるな!」


「分かってるよ!」


 俺は竜の背中にへばり付くように身を屈めた。


 竜とは比べるべくもないが、俺だって人間の中ではかなりの巨漢なのだ。


 そう簡単に吹き飛ばされはしない。


 そのままの体勢でメイスを振り下ろすと、登山で使うピッケルのように重りの部分が突き刺さり、体がしっかりと固定された。


 背中の俺に意識を向ければ、正面のゲンジロウ爺さんから斬り付けられる。


 正面のゲンジロウ爺さんを威嚇すれば、鈍器で背中を殴打される。


 翼を傷つけられているため、飛んで逃げることもできない。


 相手の巨体を利用した二正面作戦に、竜は打つ手が無いようだった。


 やっていることは、打撃と斬撃で相手の体力をチマチマと削る持久戦だが、このまま攻撃を続けていれば、竜が動けなくなるのは時間の問題。


 俺が勝利を確信した時――――信じられない現象が起きた。

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