表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
進化の魔王と覚醒の覇王。 ~転生する前から世界最強~  作者: とらじ
アルバレンティア王国と神聖教会編
189/1635

砦の獣人たち その五

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

隔日で更新できるように頑張ります。

「もう一つは、砦を襲撃した罪を負う者を、できるだけ少人数に限定してほしい。男手が全員処罰されてしまっては、集落を維持することができない」


「一応、頼んでやるよ。ただ、確約はできないけど」


 その代わり、俺には別の提案をすることができる。


「もし、お前たちがこの土地で暮らすことに執着しないなら、国外追放って選択肢もあるぞ。こっちは確約をもらっている」


「国外……? それはどういう……?」


「さっき説明しただろ」


 不思議そうな顔をするオルツたちに、俺はもう一度、大森林の現状を説明した。


「そんなわけで、お前たちが丸ごと移住しても、余裕で受け入れるくらいの広さはあるから、その気があるなら新天地で生活することもできるぞ。多分、仕事もある」


「し、しかし、失礼ながらそこまでの権限が貴方にあるのか? 百名もの獣人が国境を越えるなど、許可が下りるとはとても……」


「大丈夫だって。こっちには王国の王女も、教会の聖女も味方にいるし、王様からも最大限の便宜を図ると約束してもらっているし、大森林の領主は俺の操り人形みたいなものだから」


 国境越えも移住もまったく問題ない、と。


 俺が気安く請け負うと、オルツたちは唖然とした表情で言葉を失った。


「どうする?」


「あ、ああ……。少しだけ、仲間と相談する時間をもらえないだろうか? さすがにこれは、私の一存では決めかねる」


「いいぞ」


 俺が頷いた時、


「ん?」


 遠くから風に乗って、鐘の音が聞こえてきた。


「何の音だ?」


「大聖堂の鐘かの。ちょうど昼のようだ」


 ゲンジロウ爺さんが耳を澄ましながら、独り言のように呟く。


「こんなに遠くまで聞こえるのか」


 昨日も、一昨日も、正午の鐘の音は耳にしているのだが、正直、そんなにうるさいとは感じなかったので、ここまで聞こえてくるとは思わなかった。


 ロザリアが国中に響き渡ると言っていたが、誇張表現ではないのかもしれない。


 俺たちがぼんやりと空を見上げながら、鐘の音が聞こえなくなるのを待っていると、今度は砦の方からけたたましく鐘が鳴り響いた。


 ただし、それは正午の時報ではなく、非常事態を知らせる警鐘。


 誰かの「竜だ!」という叫び声が聞こえた。

評価、ブックマーク、感想などをもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ