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犯罪者を見る目

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

 エガリテルヴァンジュ王国の南、本国と竜の巣の間に広がる広大な魔王領は、先日の魔王軍と竜の巣の戦闘以来、廃墟と焼け野原が点在する、荒涼とした平原になっている。


 そんな物寂しい風景を通り過ぎた先にある魔王軍の砦は、復旧などされているはずもなく、半壊したままだった。


 だが、前回訪問した時とは、明らかに変わっている点が一つ。


 砦の前には、不格好ながら、きちんと整備された畑ができあがっている。


「やっと、来やがったな。何日も待たせやがって」


 畑の前で腕組みをしていたジェニオは、畑を避けて着地したワタシを見て、開口一番、来るのが遅いと文句を言った。


「しかも、何だぁ? 女子供を連れてきやがって。物見遊山じゃねーんだぞ。特に、そっちの獣人の譲ちゃんは、お前の嫁じゃねーか」


「ヒナも覇王丸様のお嫁さんです!」


 ライカを指さして、嫁同伴であることを非難したジェニオに、当然、嫁と認定されなかったヒナが噛み付いた。


「はぁ?」


「ヒナと覇王丸様は、将来を誓い合った関係です!」


「……おい。マジかよ?」


 ドン引きした様子でジェニオが尋ねてくるが、俺は肯定も否定もせず、沈黙で答えた。俺は幼女趣味ではないが、だからといって、ヒナを否定することもできないので、この手の質問には沈黙するしかないのだ。


 俺の反応を「肯定」と受け取ったのか、ジェニオの視線が性犯罪者を見るものに変わった。


「うわ……引くわー。こんなガキと結婚するとか、変態じゃん。ありえねぇ」


「ヒナはガキじゃありませんっ!」


 当然、そのストレートな物言いに、俺は少しだけ傷つき、ヒナは大いに憤慨した。


「覇王丸様! この人は失礼です! ぶっ殺してください!」


「まあ、待て。今は駄目だ。後でな」


「おい」


 後でも殺すんじゃねーよ、と。


 ジェニオがツッコミを入れるが、俺の名誉とヒナのプライドを傷つけた罪は重い。


「魔王との最終決戦のどさくさで、お前を殺す」


「やめろっ。絶妙にありそうなこと、言いやがって……!」


 冗談に聞こえないんだよ、それでも勇者か、と。


 ジェニオはどうにかして俺たちを宥めようとしたが、


「――――ああ、もう、俺が悪かったから許してくれよ」


「絶対に許しません!」


「そう言うなって。良く見たら、なかなかお似合いの夫婦じゃないか」


 いくら正論を言っても無駄だと気付いたのか、説得方法を褒め殺しに変えた。


「いやー、仲が良さそうで羨ましい」


「今回だけ、特別に許します!」


 分かっていたことだが、効果はてき面だった。


 ヒナの怒りが収まったのなら、俺にも怒る理由は無い。


「命拾いしたようだな」


「ふざけんなっ。なんで、嫁さんを二人も連れて来たんだよ」


「それについては、おいおい説明する」


 ヒナに聞こえないように小声で突っかかってくるジェニオをあしらいながら、俺は目の前の畑に目をやった。


「ほーん。まあまあの畑だな」


「まあまあって……。お前、何様だよ」


「せっかくだから、竜に燃やされた畑も活用するといいぞ。灰とか炭とか、適当にかき集めて畑に撒いたらどうだ?」


 あるいは、燃やされた畑を、そのまま再利用するのも良いだろう。野焼きをした後の灰には栄養が含まれているので、雨が降って土に溶けると、畑が良い状態になるのだ。

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