表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1506/1692

立ち回りの弱点

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明日です。

 だが、この「立ち回り」こそが、魔王軍の――――ひいては魔王の最大の弱点なのだ。


 魔王には、一切の打算が無い。復讐に囚われている者は、視野が狭くなり、良くも悪くも、思考や行動がワンパターンになるからだ。


 魔王は絶対に、裏切り者を許さない。


 魔王は絶対に、百年前の恨みを忘れない。


 これらの前提がある限り、魔王軍は敵対するすべての勢力と、常に戦わざるを得ないのだ。第二方面軍の独立をいったん容認することも、人類軍と一時的に停戦することも、魔王の取る選択肢としては「あり得ない」のである。


「……このままでは、我々には敗北する未来しか残されていない」


「慌てるなって。最後まで話を聞けよ」


 暗く沈んだ声で、絶望的な未来予想をするアロガンを、俺は軽い口調で元気づけた。


「心配しなくても、あんたが考えている最悪の展開にはならないぞ」


「どういうことだ?」


「結論から言うと、人類軍は第二方面軍とは組まない。話し合いの結果、そう決まった」


「……なぜだ?」


 まったく理解ができない、と。


 アロガンは納得のいかない様子だ。


「厳密に言うと、第二方面軍からの申し入れに対して、のらりくらりと回答を先延ばしにする感じだな。敵対するわけではないけど、協力もしないみたいな」


 そのような、どっちつかずの対応が取れるのは、第二方面軍にとっては、人類軍と「敵対しない」だけでも十分なメリットになるからであり、一方、人類軍から見れば、魔王軍が裏切り者の第二方面軍と和解することは「あり得ない」と、断言できるからだ。


 俺は、呆けた顔をする二人に、先日の国際会議の内容を掻い摘んで説明した。


「そんなわけで、少なくとも、当面の間、人類軍からの横やりは入らないから、安心して第二方面軍と戦ってくれよ。お前らの親父にも、そう伝えてくれ」


「マジかよ……。お前、どうして、わざわざ会議に参加してまで反対したんだ? 俺が言うのも変だけど、人類軍にとっては良い話だろ」


「まあな」


 何か裏があるんじゃないのか、と。


 疑惑の目を向けてくるジェニオに、俺は曖昧に頷いた。


「裏があると言えばあるし、無いと言えば無いんだよな」


「はあ? なんだそりゃ?」


「隠すのも面倒だから、はっきり言っちまうけど、魔王軍と第二方面軍が潰し合ってくれるのが、人類軍にとっては一番ありがたいんだよ。だから、そのことを指して「裏があるんじゃないか」と言っているなら、何も反論はない」


「……マジでぶっちゃけやがったな」


 いっそ清々しいわ、と。


 ジェニオは呆れ半分、納得半分の表情で頷いた。


「これが裏の理由だな」


「今、ぶっちゃけたから、引っ繰り返って、表の理由になったぞ」


「表の理由は、別にあるんだよ」


 それは、表と裏ではあるが、ジェニオが言うような本音と建前ではなく、人類軍としての本音と、俺の個人的な本音と言うべきだろう。


「やっぱり、何と言うか、征龍候と組むことに抵抗があるんだよな。共闘したところで、どうせ、いつかは敵対すると思うし。こっちとしては、最後に倒す敵が魔王ならすっきりするけど、征龍候だとモヤモヤすると思うんだ。大嫌いな食べ物をどうしても食べなきゃいけないなら、早めに食っておきたいというか、最後まで残しておきたくないんだよな」


「やべーな……。それ、めちゃくちゃ分かる」


 ジェニオは困惑した様子で、頭を抱えた。


「兄貴は、分かるか?」


「分かるも何も……。要するに、お前たちは征龍候のことが嫌いなのだろう?」


「まあ、そうだけど」


 ほぼ同時に頷く俺とジェニオを見て、アロガンはため息を吐いた。

評価、ブックマーク、いいね、感想などをもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ