マキちゃんを尋問
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次回の更新は明日です。
翌日、臨時の活動拠点として利用させてもらっていた集落の住人たちに感謝の言葉を述べ、本来の拠点であるオース海峡の港町に引き揚げる仲間とは別に、俺はワタシの背中に乗って、北に向かっていた。
目的地は、今は放棄されて、ほぼ廃墟と化した魔王軍の砦。
目的は、征龍候に対する嫌がらせだ。
そして、別に単独行動でも構わなかったのだが、後で情報共有をする際に、俺が説明を面倒くさがることを知っているゲンジロウ爺さんから、誰でもいいから仲間を連れて行くように指示されてしまったので、俺はマキちゃんを指名することにした。
「久しぶりだねえ。覇王丸君と二人きりで行動するの」
「二人じゃなければ、ちょいちょい一緒に行動しているけどな」
「てっきり、ライカちゃんかフィオレさんを指名するものだと思っていたけど」
「まあ、そうだな」
マキちゃんの言うとおり、俺は周囲から、何をするか分からない危険人物だと思われているし、実際に、怒ると自分でも何をするか分からないので、同行メンバーを一人だけ選ぶのであれば、いざという時にブレーキ役になってくれる人物を選ぶのが、合理的だと言える。
そういう意味では、冷静で客観的な判断のできるゲンジロウ爺さんやフィオレ、俺の手綱を握ることのできる唯一無二の存在であるライカが人選としてはベターなのだが、今回に関してはマキちゃん一択であり、他の選択肢は無かった。
理由は言うまでもなく、昨夜のマルマルとの会話で判明した「十一人目の勇者」の正体が、マキちゃんである可能性があるからだ。
可能性という意味では、俺も同様に容疑者の一人ではあるのだが――――
(自分で自分を疑う……って、無理だろ)
別に、俺は記憶喪失でも、二重人格でもないのだ。自覚も心当たりも無い以上、疑いようがない。
(この分だと、マキちゃんも何も自覚していない可能性があるんだよなぁ)
『何がですか?』
(何でもねーよ)
不意に話し掛けてきた山田を雑にあしらい、俺はため息を吐いた。
十一人目の勇者の件に関しては、守護天使である山田と情報共有できないため、非常に面倒くさい。山田とは日常的にテレパシーのような方法で会話しているため、考え事をするにも、いちいち意識しないと、思考が駄々洩れになってしまう恐れがあるのだ。
「どうせ、また、消去法で私を選んだんでしょ?」
「今回は違う。ある意味、マキちゃんしか選択肢が無かった」
「え……。それって、もしかして、愛の告白をするみたいなことだったり……?」
「断じて違う。命を懸けてもいい」
「そこまで否定することないでしょ!?」
マキちゃんは怒って、俺の脇腹をポカポカと小突いてきたが、別に痛くも痒くもないので、俺は放置することにした。
(結構、マキちゃんのリアクションって、大人っぽさが無いというか、色気が無いというか、中高生の女子みたいな時があるんだよなぁ……)
同年代のノリというのだろうか?
実年齢がアラサーだと考えると、これは「痛々しい」リアクションになってしまうのだが、二十二歳だと考えると、見た目の若さ(やや童顔)も相まって、ぎりぎり可愛らしいと言っても許されるのではないかと、脳が錯覚しそうになる。
「マキちゃんさぁ。俺たちに隠していることって無い?」
「え? 隠していることって?」
「年齢とか」
「っ!?」
思い切って、俺がストレートに尋ねると、マキちゃんの表情があからさまに強張った。
「何か隠しているのか?」
「ななななな何も隠してないし?」
「ドモりすぎだろ」
俺が疑惑の眼差しを向けると、マキちゃんはそれから逃れるようにプイッと顔を背けた。
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