竜の巣としては中立
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真面目な性格のヨキは、竜王と同じように目を閉じて黙考した後、静かに口を開いた。
「――――私ハ、今後、竜ノ巣ハ以前ト同ジヨウニ、人間ト一定ノ距離ヲ置キ、中立ノ立場ヲ取ルベキダト考エマス。勿論、生存ヲ脅カサレタ場合ニハ、反撃ヲシマスガ、ソレ以外デハ、魔王軍ト人類軍ノドチラカ一方ニ、竜ノ巣トシテ肩入レスベキデハナイカト」
「そっか」
断られてしまったが、俺は納得して頷いた。ヨキの言い分に、全面的に同意できたからだ。
正直、今回の作戦は、竜の巣の協力が無いと成立しないのだが、俺自身、竜の巣に頼りすぎてはいけないとも思っていたので、逆にすっきりしたかもしれない。
「あ。でも、ワタシとオレサマに関しては、今後も俺たちと行動させるからな」
あの二匹に関しては、俺の中では竜の巣の所属ではなく、最初から俺たちの仲間という認識だ。それに、あの二匹がいないと、長距離移動や輸送の面で、とても困ってしまう。
「ワタシとオレサマにまで、竜の巣に戻ってこいとか言わないでくれよ?」
「言ワナイシ、ソレデ何モ問題ハ無イ。アノ二人ハ、覇王丸ヲ家族ト認識シテイル」
ヨキは頷いた後、
「ソレニ、先程ノ提案ニツイテダガ、私ハ受ケヨウト思ッテイル」
直前の自分の発言と矛盾するようなことを言った。
「どういうことだ? さっき、魔王軍と人類軍のどちらか片方には肩入れしないって言ったよな?」
「攻撃ヲサレタラ、反撃スルトモ言ッタ。ソレニ、私ハ「竜ノ巣トシテハ」中立デアルベキダト言ッタノダ。ツマリ――――」
そこで、言葉を溜めると、ヨキは俺を正面から見据えた。
「今回、私ハ、覇王丸ノ友トシテ、個人的ニ協力ヲシヨウト考エテイル」
「フハハ! 素晴ラシイ答エデハナイカ!」
ヨキの発言に、俺は深く感銘を受けたが、四聖竜の中で最も空気を読めない竜が、その感動に水を注すように大声で高笑いをした。
「ソウト聞イテハ、コノ我モ黙ッテイルワケニハイカヌ! 覇王丸ノ盟友トシテ四聖竜筆頭ノ我モ協リョ――――痛イッ!」
突然、ナルヒェンが大きく体勢を崩した。その脇腹には、ボーリングの玉ほどもある岩が、めり込んでいる。
そして、岩が飛んで来たと思われる位置には、シュヴァイクザームカイトの姿があった。
「ナ、何ヲスルノデアルカ!」
「……」(ぺっ!)(ぺっ!)(ぺっ!)
「イタイ! イタッ! シュヴァイクザームカイト、止メルノデアル! イタッ!」
突如、速射砲のごとく岩を連続で飛ばしはじめたシュヴァイクザームカイトに、ナルヒェンは堪らず、情けない悲鳴を上げる。
ただ、避けてしまうと、流れ弾が竜王に当たる恐れがあるので、回避行動は取らない……どころか、むしろ自分から当たりにいっていた。アホでも、竜王への忠誠心は本物のようだ。
(……ああ、そういうことか。ナルヒェンの大声でライカとヒナが目を覚ましちゃうかもしれないから、怒っているんだな)
ナルヒェンへの攻撃を止めたシュヴァイクザームカイトが、一瞬だけ草のベッドで熟睡中の二人を一瞥したため、俺はそのように推測した。
普段から殆ど喋ることのないシュヴァイクザームカイトだが、実は細かい気配りができる、とても優しい奴なのだ。
「コノ位置ハ良クナイノデアルッ!」
「……」
シュヴァイクザームカイトが攻撃を停止している間に、ナルヒェンは回り込むようにして、竜王から離れた。
これでひと安心――――は、できなかった。
「……」(ペペペペペっ!)
「ヒィィィ!」
流れ弾が竜王に当たる恐れが無いということは、シュヴァイクザームカイトも一切の躊躇なく、全力で攻撃ができるということだからだ。マシンガンのような怒涛の攻撃に驚いて、ナルヒェンは飛翔魔法で一気に上空まで避難した。
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