表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1474/1704

覇王丸の主張 ニ

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「それじゃあ、第二方面軍だけでは勝てないから、人類軍を巻き込んで、魔王を倒そうとしている――――しかも、人類軍の方に、より大きな被害を出させようとしているっていうのは、どうだ?」


「どうだ? と言われても、困るが……。だが、一応、理には適っているな」


 ラルフは納得した様子で頷いた。


「人類軍に大きな被害を出させようとしている……というのは、どういうことだ?」


「第二方面軍は、魔王軍の中では海軍的な位置づけなんだ。だから、第二方面軍と組むことによって、人類軍は海上での安全を手に入れることになる」


 それは、人でも、物でも、オット大陸からトレンタ大陸に、安全かつ大量に輸送できるようになるということだ。敵の海軍がまるまる味方になるのだから、それは当然だろう。


「反対に、魔王軍の本隊は、第二方面軍と敵対したことで、制海権を失っている。人の移動も物の輸送も、陸路を使わなければいけなくなった」


「良いことではないか」


 それのどこが罠なのだ、と。


 参列者の一人から、疑問の声が上がった。


「問題なのは、そうすることで役割分担ができてしまうことだ。海路が安全だから、人類軍は地上部隊を大量に送り込めるだろ? そうなると、人類軍の大半は地上部隊で、第二方面軍の大半は海上部隊ってことになる。そんな状況で魔王軍と戦ったら、より大きな被害を受けるのは、人類軍と第二方面軍のどっちになる?」


 人類軍と同様に、地上部隊中心の魔王軍の本隊が、わざわざ海での戦闘を選択するとは思えない。


 結果、人類軍ばかりが、大きな被害を受けることになるだろう。


 それが、征龍候の仕掛けた罠の一つだ。


「実際、つい先日、魔王軍が竜の巣に攻め込んだ時も、同じ方法で第三方面軍が大きな被害を受けている。多分、征龍候はその時から裏切ることを決めていたんだと思う」


 裏切ると決めていたから、裏切った時に最大の脅威になる第三方面軍が大きな被害を受けるように、竜の巣への侵攻を魔王に進言したのだ。


「しかしだな。海上戦力ばかりとはいえ、共闘を呼び掛けている以上、第二方面軍がまったく戦わないとは思えないが」


「そりゃ、戦いはするだろ。トレンタ大陸の港という港を占拠して、そこから攻め込んでくれるんじゃないか? その結果、魔王軍は戦力を分散せざるを得なくなる」


 各地の港に戦力を投入することで、相対的に、人類軍が攻めやすくなることは間違いない。


 だが、どんなに戦力を分散させても、絶対に手薄にはならない場所がある。


 それは、魔王のいる王都だ。


 結局のところ、この戦争は魔王を倒さない限り、終わらない。


 戦争に勝利するためには、必ず魔王のいるゴールまで進軍しなければならないのだ。


 ゴールが決まっている以上、進行ルート上には、敵の主力部隊が立ち塞がることになる。


「征龍候が、最も重要で最も困難な戦闘を、我々に丸投げするというのか?」


「そうなるだろうな」


 なぜなら、それが最も合理的だからだ。


 広大なトレンタ大陸に数えきれないほどある港を、片っ端から占拠するなどということは、第二方面軍でなければできない。


 人類軍が同じことをすれば、現地住民(魔人)が必死で抵抗するからだ。


「戦争を続けることに嫌気がさしている魔人は多いみたいだから、ひょっとすると、第二方面軍なら現地住民に歓迎されるかもしれない。けど、人類軍では、そうはならない」


 いくら共闘したところで、殆どの魔人にとって、人類軍は敵なのだ。


「でも、港を攻撃することで、敵の戦力が分散することは間違いないから、やるかやらないかで言えば、絶対にやった方が良いだろ? だから、十中八九、地上から進攻するのは人類軍の役目になると思う」


 そして、戦力の分散以外にも、人類軍が魔王討伐を担当すべき大きな理由がある。


 それは、魔王に対抗できる唯一の存在が、人間の勇者である俺だということだ。

評価、ブックマーク、いいね、感想などをもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ