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進化の魔王と覚醒の覇王。 ~転生する前から世界最強~  作者: とらじ
アルバレンティア王国と神聖教会編
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買い物に出かけよう

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

隔日で更新できるように頑張ります。

 翌日からは、午前中にゲンジロウ爺さんと一緒に中庭で剣の稽古をして、午後からは魔法を習得するための訓練に励むという、なかなかにストイックな生活を送ることになった。


 剣に関しては、少しずつ上達していると思うのだが、いかんせんゲンジロウ爺さんとの差がありすぎて、あまり実感が湧かない。


 魔法に関しては、さっぱりだった。


 毎日、俺が硬くなれと怨念(魔力)を込めた泥だんごは、いとも簡単に潰れてしまう。


(まあ、ジョアンも気長に続けろと言っていたし)


 諦めずに続けていれば、いずれ成果はついてくる……と思いたい。


 なんとなく、飽きてしまいそうな気もするが。


 世界情勢としては、人類軍がとうとうオターネストの城壁を肉眼で確認できるところまで、戦線を押し上げたらしい。


 最後は攻城戦になるのではないかと、そんな噂が王城内で生活している俺たちの耳にも入ってきた。


     *


 王都エードラムに到着してから五日目。


 この日はゲンジロウ爺さんに誘われて、午後から城下町に全員で出かけることになった。


 全員というのは、午前中の剣の稽古に参加している者が全員という意味だ。


 だから、俺とライカだけではなく、ゲンジロウ爺さんとハウンドも客車に乗っているし、アホ兄弟も護衛として馬車に随行している。


 そして、金髪の男も俺たちと同じ客車に乗っていた。


 四頭立ての馬車なので、これだけの人数が乗っていても、客車にはまた余裕がある。


「なんで、お前が同じ馬車に乗ってんの?」


「これは俺の馬車だぁぁぁっ!」


 打てば響く鐘のように、金髪の男がヒステリー気味の怒号を発した。


 最初の頃は、金髪の男が怒鳴る度に身を強張らせていたライカも、剣の稽古で毎日のように顔を合わせているため、すっかり慣れてしまった様子だ。


 今は苦笑いを浮かべている。


「貴様らこそ、なぜ、俺についてくるのだ! 視察の邪魔をするなっ!」


「視察って、遊び歩いているだけだろ? 俺たちは買い物に行くんだ」


「貴様らの方こそ遊びだろうがぁぁぁっ!」


 そろそろ、本当に頭の血管が切れてポックリ逝ってしまうような気がする。


「殿下、それくらいで。この者たちには、ワシが声をかけたのです」


 我関せずと外の景色を眺めていたゲンジロウ爺さんが、いよいよ看過できなくなったのか、ため息まじりに金髪の男を諫めた。


「毎日、城に籠もりきりでは気が滅入りますからな。気晴らしも必要だと思いまして、視察に一緒に連れて行こうかと」


「なぜだ! こいつらはこいつらで、勝手に城下に行かせればよいだろう!」


「心安立てに言葉を交わせる同年代の知己は、人生の宝になりますぞ?」


「それは立場が対等な場合の話だ! こいつらはただ無礼なだけではないか!」


 そう言って、対面に座っている俺とライカとハウンドを、順番に指す金髪の男。


「おい。三人とも指さすんじゃねーよ。無礼なのは俺だけだろうが」


「自覚があるなら言葉を慎めぇぇぇっ!」


 金髪の男が立ち上がり俺の胸倉に掴みかかろうとしたところで、ゲンジロウ爺さんの木剣に二人とも頭を叩かれた。


「いてっ!」


「痛いっ! ゲンジロウ、貴様!」


「殿下はお静かに。覇王丸も挑発するな」


 最近、ゲンジロウ爺さんは、愛用の日本刀だけはなく、木剣も持ち歩いている。


 本人は杖の代わりだと言っているが、俺たちの折檻用であることは明白だ。


「やれやれ。顔を合わせれば喧嘩ばかりだの。最初は似た者同士かと思ったが、こうも相性が悪いとは」


「似た者同士はないだろ」


「まったくだな! 俺たちのどこを見て、そう思ったのやら!」


「そういうところなんだが……」


 ゲンジロウ爺さんは諦めたようにため息をつくと、静かにしていればどうでもいいと言わんばかりに、車窓の景色に視線を戻した。

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