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進化の魔王と覚醒の覇王。 ~転生する前から世界最強~  作者: とらじ
アルバレンティア王国と神聖教会編
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ジョアンとロザリア その四

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

隔日で更新できるように頑張ります。

「いいね! 君のそういうところ、私は気に入ったよ!」


「そういうところって?」


「深く考えているのに、何も考えていないのと、まったく同じ結論に辿り着くところ!」


「……」


 一応、褒められているようだが、まるでそんな気になれない。


 俺が顔をしかめてジョアンが落ち着くのを待っていると、それまで黙って話を聞いていたロザリアが、おもむろに立ち上がった。


「あの、覇王丸様。私、お二人のお力になれるかもしれません」


「どういうことだ?」


「王国の兵士を護衛として、お二人に同行させることができるかも――――」


「え、本当か?」


 思わず、ロザリアが最後まで言い終える前に、聞き返してしまった。


 それくらい、魅力的な提案だったからだ。


「仲間の一人――――ハウンドって奴が、今回、一緒に行けないからさ。もし、それができるのなら、凄く助かる」


 ハウンドが大森林に向かうフランツに同行することになったのは、他ならぬ俺の判断だが、もし、それがなかったとしても、結局、ハウンドは留守番になっていたと思う。


 耳と尻尾を隠せば普通の人間と見分けのつかないライカと違って、ハウンドは獣人の容姿を誤魔化すことができないからだ。


「ハウンドって、城内で噂になっている黒豹の獣人のことかい? こんなことは言いたくないけど、獣の血が濃い獣人を連れて行ったら、多分、喧嘩を売る前に戦争になるよ」


「だから、連れて行かない。でも、そのせいで戦力的に少し不安なんだ」


 今まで、御者に、見張りに、食料調達にと。八面六臂の活躍をしてくれたハウンドが抜ける穴は、かなり大きい。その穴埋め要員がアホ兄弟の二人では、心許ないと思っていたのだ。


 ロザリアはそんな俺を安心させるように、穏やかな笑顔を浮かべた。


「お任せください。私、神聖教会にはちょっとした伝手があるんです。それを使えばお二人の旅の安全は保障できると思います」


「マジか! ありがとう!」


 俺が両手で包み込むように握手をして感謝の意を伝えると、ロザリアはきょとんとした後、すぐに赤面して俺の手を振り払った。


「お礼には、お、及びません。早速、父上に掛けあってみますねっ。それではっ」


 あたふたした様子でその場を取り繕いながらも、優雅に挨拶をして退室するロザリア。


 その様子を眺めていたジョアンが、見咎めるような視線を俺に向けた。


「覇王丸ぅー」


「何だよ」


「ロザリアは社交的な性格だけど、今まで貴族の男としかまともに話したことがないんだよ」


「だから?」


「覇王丸みたいに、身分を気にせずに話しかけてくる男も、気取らずに素直な感情をぶつけてくる男も、貴族の中にはいなかったってこと」


 要するに、免疫の無いことをされて、動揺してしまったということだろうか。


「まさか、それだけで惚れられたわけじゃないよな?」


「惚れられてはいないけど、意識はさせちゃったかもね」


「マジか」


 一国の王女が、そんなにちょろくてよいのだろうか。


「覇王丸が活躍して名を上げれば、もっと意識してもらえると思うよ」


「何の話だよ」


「人間なんて、ほんの些細なことで好きになったり嫌いになったりするって話さ。それじゃ、ロザリアも帰ってしまったことだし、そろそろ魔法の話でもしようか?」


 ジョアンは部屋の隅に控えていた使用人の女性に、コップ一杯分の水を用意させた。

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