ジョアンとロザリア
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隔日で更新できるように頑張ります。
午後からは、ゲンジロウ爺さんが早くも約束を取り付けてくれた宮仕えの魔法使いに会いに行くことになった。
魔法について教えてもらい、あわよくば習得の手助けをしてもらうことが目的だが、参加者は俺とライカの二人だけだ。
ゲンジロウ爺さんは昨日に引き続き金髪の男と一緒に城下の視察に、ハウンドは晴れているから体を洗いたいと言い残して、どこかに行ってしまった。
使用人に案内してもらった部屋には、小さめの円卓を囲んで談笑する二人の女がいた。
一人は、ゆったりとしたサーコートに身を包み、ショールを肩から首元に巻き付けている女。
パーマをかけたようなくりくりの髪で、なぜか両目を閉じている。
「やあ。待っていたよ」
腰かけたまえ、と。
女は男みたいなサバサバした口調で、俺たちに着席するように勧めた。その間も、ずっと目を閉じたままなので、もしかすると盲目なのかもしれない。
「お待ちしておりました」
もう一人の女が、俺が腰掛けたのを見て、柔和に微笑んだ。
こちらはひと目で貴族と分かる優美な服を着ている。金髪の美人。しかも、かなり胸が大きい。
「あんたが魔法使いだな?」
俺は対面の二人を見比べて、目を閉じた女の方を指さした。
「ご名答だよ。だが、指をさすのはやめたまえ」
「見えているのか? 目を閉じているのに」
「見えているとも」
そう言って、女はゆっくりと目を開けた。盲目ではなかったらしい。
「私の名はジョアン。王城勤務の魔法使いであり、今は王女付きの護衛兼教育係かな」
「王女?」
俺はジョアンの隣の女に目をやった。
「ということは、こっちの巨乳美人が……?」
「ロザリア・エードラム・アルバレンティアです。勇者様、お見知りおきを」
ロザリアが恥ずかしそうに頬を染めながら、俺に挨拶をした。
「王女だと薄々勘付いていながら、巨乳と言ってのける君の度胸には感服するよ」
ゲンジロウさんの言っていたとおりだね、と。ジョアンは楽しそうに笑った。
「すみません。ジョアンが勇者様にお会いすると聞いて、無理を言って同席させていただいたのですが……。お邪魔ではなかったでしょうか?」
「問題ない。暑苦しいおっさんなら邪魔だけど、美人は邪魔じゃない」
「まあ」
ロザリアは俺の返答をお世辞だと受け取ったらしく、楽しそうに笑った。
『その程度の誉め言葉は、聞き慣れていますって感じですね』
(まあ、実際に美人だからな。何と言っても巨乳だし)
『巨乳派というのは本当だったんですね……』
僕とは相容れないようです、と。
真性のド変態である山田が、どこか寂しそうに呟いた。
寂しそうにされても困るのだが。
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