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進化の魔王と覚醒の覇王。 ~転生する前から世界最強~  作者: とらじ
アルバレンティア王国と神聖教会編
108/1639

剣聖 VS 覇王丸(前編)

一日1000文字を目標に続きを書いています。

隔日で更新できるように頑張ります。

 最後に俺が出てきたことで、観衆からどよめきが上がった。


『完全にラスボス扱いですね』


(まあ、仕方ない)


 体がデカいと、往々にしてこういう扱いを受けるものだ。


 特に、こっちの世界は地球と比べて大人の平均身長が低いらしく、アホ兄弟も、金髪の男も、兵士たちも、目測で身長が一六〇~一七〇センチくらいしかない。


 そんな連中から見れば、たしかに俺はラスボスだろう。


(ラスボスらしく、勇者を罠にはめるか)


『小物っぽいラスボスですね』


(別に気にしない)


 俺は、ゲンジロウ爺さんが腰に佩いている日本刀を指さした。


「爺さん、腰の刀は使わないのか?」


「これかの? ……どうしてそんなことを?」


「いや。使うのなら、最初から使ってほしいと思ってさ」


「……本物だぞ?」


 ゲンジロウ爺さんの声色が、ほんの少しだけ変わった。


 そのへんの兵士が携帯している量産品の剣と一緒にするなよ、と。


 威嚇付きの警告をされたような気がする。


 だが、ここで気おされて、口を噤むわけにもいかない。


「俺ってさ、見てのとおりの図体だから、他人よりも打たれ強いのが取り柄なんだよ」


「ふむ。まあ、見るからにそんな感じだの」


「だから、木剣で殴られるくらいなら、はっきり言って、避けないと思うんだよね。それなのに「本物の剣だったら死んでいた」とか言われるのは、納得がいかないからさ」


「なるほど。だから、使うのなら最初からこれを使えと」


 ゲンジロウ爺さんは日本刀の鍔に指をかけ、思案顔になった。


「ゲンジロウ! 相手がお望みなのだ。腰の剣で斬り捨ててしまえ!」


「そういうわけにもいくまいよ」


 余程、俺を酷い目に遭わせたいらしい金髪の男を、ゲンジロウ爺さんは冷静に窘めた。


「ま、よかろ。そこまで言うのなら、無理して避けなくてもいいぞ。こちらも、突かれたから死んだ、当たったから斬れたなどと言うつもりはない」


「日本刀は使わないのか?」


「命のやり取りをすることが目的ではないからの」


 ゲンジロウ爺さんの返答を聞いて、俺は心の中でガッツポーズをした。


(これで、どれだけ殴られても大丈夫だな)


『普通は平気じゃないんですけどね』


 一般論を言えば、木剣だから安心という話には絶対にならない。


 本気で殴れば簡単に骨が折れるし、当たり所が悪ければ死んでしまう。


 だが、俺はトラックと正面衝突しても骨折をしなかった男だ。


 魔王軍の中ボスであるサルーキにも、拳で殴り勝っている。


『覇王丸さんが死んだら、骨で伝説の装備が作れそうですよね』


(人骨の鎧とか、完全に呪いの装備じゃねーか)


 俺は山田を相手に軽口を叩きながら、既に木剣を構えているゲンジロウ爺さんと対峙した。

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