表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1629

プロローグ

新連載です。きりのよいところまで毎日投降できるように頑張ります。

 昨晩、変な夢を見た。


 夢の中で、俺は応接室のような場所にいて、ソファに腰かけていた。


 俺の正面には、平凡な顔の男が座っていて、翼も生えていないくせに自分のことを天使だと言い張っていた。


「実は貴方は――――


 男は真剣な表情で何かを説明していた。


 が。


 俺は話の内容を殆ど聴いていなかった。


 その時、頭にあったのは、たった一つの疑問。


 ――――なぜ、こいつは男なのだろうか。


 俺は十六歳。健全な高校一年生の男子生徒だ。


 普通、俺くらいの年齢の男が、ご都合主義な夢の中で会う天使といえば、美人のお姉さんが定番ではないだろうか?


 黒髪ロングの清楚系でも、ゆるふわタイプの癒し系でも、無口で感情表現がちょっと苦手なクールビューティーでもよかったのに。


 なぜ、男なのか。


 なぜ、意外性を求めてしまったのか。


 俺が苛立って、拳を机に叩きつけると、目の前の男はビクッと肩をすくめたものの、すぐに悲しげに目を伏せた。


「……理不尽なことを言っているのは分かっています」


 いや、分かってねぇよ。


 分かっているなら、なぜ、お前が出てきた? 嫌がらせか?


「でも、こうするより他に方法が無いんです! どうか、ご理解ください!」


 ああ、もう、分かった分かった。


 夢を見ているということは、眠りは浅いはずだ。


 どうせ、もうすぐ目が覚めるんだろう?


 もういいから、俺をさっさと現実の世界に戻してくれ。


「はい、では。どうか、段取りどおりにお願いします。通学途中の交差点です」


 男は、最後に意味不明なことを口走り――――そして、目が覚めた。


    *


(本当に変な夢だったな……あれは)


 翌朝、通学途中の交差点。


 信号が青に変わるのを待ちながら、俺がぼんやりとそんなことを考えていると、すぐ横から小さな女の子が道路に飛び出した。


 ――――歩行者用信号はまだ赤。


 次の瞬間、女の子はトラックに撥ね飛ばされて宙を舞い、十数メートル先のアスファルトに叩きつけられた。


 ゴロゴロと転がり、そして、止まる。


 糸が切れた人形のようだった。


 現場は、正に阿鼻叫喚。


 母親らしき女性の絶叫と、事故の瞬間を目撃した通行人の動揺とざわめきが交錯している。


 そんな中、俺は横断歩道を渡ろうとして――――


 気が付いたら、夢で見た応接室のような場所に立っていた。

評価、ブックマーク、感想などをいただけると嬉しいです。

別作品の「異世界人事部転生」もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ