植民地主義の陰りと日本連邦発足2
植民地主義の陰りと日本連邦発足2
3月8日 13時30分
演説が終わった頃本国から派遣されていた派遣官達は急いで総督府に戻ってきていた。
「なんだと!?」
モロッコ総督の田中義景が焦ったような声を出した。
「これは、責任問題になるぞ!誰だ、その場にいて止めなかったやつは!すぐに外務省に連絡しろ!緊急一等回線を使え。すぐに長官まで報告をあげろ。」
「了解しました。」
「それからカブランサカに駐屯している一個師団15000人の第39師団に総督権限で緊急出動待機命令を発令。国防総省にも通達しろ。それから、、、、そうだ、すぐにカブランサカ警視庁に連絡して戒厳用意をさせろ。あとは、公安にも連絡。首相を監視させろ。」
「了解しました。」
彼の執務室から指示を出された職員が飛び出していく。これは緊急事態だった。
そして、みんながいなくなってから田中は一人執務室で天を見上げた。
「神よ。なぜ私が総督の時にこのような試練をお与えになったのだろうか?なんで、今...」
彼は赴任してからまだ4ヶ月。前の仕事は京都府知事。いくらなんでも荷が重すぎた。
同日 15時 日本本土 東京 首相官邸
「遂に起こってしまった。植民地の独立騒動が。」
「ええ。なんとなく予想はたてていました。」
「場所がモロッコなのも幸いですね。」
「まぁ他よりもな。」
複数の大臣が話していると横浜に出張中だった首相が急ぎで戻ってきた。
「何があった」
首相は外務大臣から詳細なことが聞きたいらしい。
「えー、まず今から二時間ほど前にカブランサカのモロッコ自治政府の首相が独立宣言をしたことに始まります。現地の派遣官によると日本とは敵対するつもりはないが日本の一部ではなくモロッコ人による国が欲しいと言ったそうです。その後現地の田中モロッコ総督から外務省に緊急連絡がありそこから私のもとまで話が来たのでこの会議を召集したわけであります。」
「それで、対応は?」
「国防総省によりますと現地カブランサカ駐屯の第39師団に現地の田中総督の緊急命令で出動待機命令が発令されました。」
「うーむ、」
首相と大臣達は悩んでいた。実は昨年末にイギリス領インドで大規模な反乱が起こったのだ。原因はイギリスインド総督府の圧政。それによって独立運動が起こったのだ。イギリス軍は10個師団150000人をアフリカ、中東、アジアから投入して現在も鎮圧中だ。それを見ているので軽はずみな対応は避けたいのだが今、独立を認めてしまうとアフリカに植民地を持つイギリス、フランス、スペインから恐らく苦情が来る。勝手に植民地人からの要請に答えて独立させるなんて許されません。とかなんとか言ってきそうなのだ。さらに、国内にも反対派はうずめいている。なにせ約100年前の日本軍の兵隊が命を懸けて占領したところを見返りなしに引き渡すとかなると政権支持率は急落。そもそも暴動が起きる。さらに怖いのがモロッコだけですめばいいが他のアフリカ地域ならまだしもアラブに飛び火した場合日本にとっての安全保障が揺るぎかねない事態なのだ。正確には今の石油使用量は樺太、新潟、ボルネオだけでも十分賄えるが20年後には足りないという試算が既に出されているのだ。また、モロッコにいる邦人は80000人だがアラブにいる邦人はもはや半分内地化してしまっているので約150万人程度。ここで独立運動なんて起こったら緊急事態が起こる。
「枢密院にも聞いてみよう。あちらに案をいくつか出してもらおう。そして、そのなかからいい案を我々が立法議会に提出する。」
「それがいいだろう。」
会議ではそう決まったがこの問題一筋縄では行かないのだ。
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