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９９、最後の力４

　土人形が次々と打ち倒され、透明な防御の壁も破壊された。

　その勢いに乗じてマタタビが突撃する。立ちはだかる残った土人形をすれ違いざまに切りつけながら、魔法使いを目指して進んでいく。

　それを脅威に感じた土人形が二体、無理やりな機動でマタタビの進路をふさいだ。

「あーもう、邪魔よ！」

　黒い狼もまた、恨みの相手へ向かって突進していた。立ちふさがる土の塊を、重量と膂力をいかして打ち砕いていく。

　迫る狼の牙を、しかしハイランドはそちらを見ることもせずに数歩後退して回避した。狼が愕然とし、追撃しようとするが間に合わない。

　そして魔法が完成した。

　透明ななにか、力がハイランドから膨れ上がり、そしてその中心に向かって収束していく。

　その刹那に、

「――っ！？」

　足元まで近寄っていたサソリの尻尾が、わずかに相手の身体を貫いていた。

　だが、それだけだった。

　ハイランドの怒りの表情とともに、魔法の効果なのだろう、彼の姿は跡形もなく消え去った。