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 魔法で動く鎧を食い止めるサソリたちも、そして直接的に人間の魔法使いと対峙したユラユラたちも、もう限界が間近に見えていた。

 これだけの魔物を相手取れる魔法使い相手に、一人で戦おうとしていた狼がどれだけ無謀だったのか今ならよく分かった。

 逃げろと言ったにもかかわらず、彼よりもあまり遠くないところから治癒の光が放たれてサソリの肉体が再生していく。

 サソリは叫んだ。自分を癒したカーバンクルにではない。それはもう意味がない。森の奥へ向かって叫ぶ。

「オクタコさん! もう無理!」

 叫びながら、自分は複数の足で地面を蹴ってカバに体当たりを仕掛ける。悲鳴とともに彼女の身体が再び転がった。

 サソリの身体を剣がかすめていた。鎧が投げ放った剣。なにもしなければカバに直撃していただろう。

 鎧が接近してくる。地面に突き刺さった剣を拾いなおすためだろう。

 それを阻止しようとサソリが考え、そして自分は剣を持てないしなと思ったところで、目の前の景色が歪んだ。

 空間がぶれる。

 景色に溶け込んでいた大きな大きなタコの足が擬態を解除して、姿を現したのだ。目の前に現れた足が鎧に巻きつくようにしてほぼ全部包み込んだ。

 木々の間をタコの本体が窮屈そうに通り抜け、残りの足でハイランドを守っている土人形を攻撃しようと動いていた。

 それを見ながらサソリは思った。複数の尻尾で敵を攻撃したら強いかななどと思ったけれど、タコとかにしておけばよかったかもしれない。それなら複数の足で敵を攻撃できる。

 うねうねとうごめく何本ものタコの足の隙間から、ハイランドの表情が見えた。

 驚愕に目を見開き、そして口が開いたままだった。

 その光景を見て、サソリはなんだかすごく気持ちがよかった。

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