90、参加者3
スウマが話していた騎士団を襲う魔物というのが、自分たちのような参加者である確証はなかった。だが参加者である可能性は高いと踏んでいた。
そして参加者であるのならば、見つけるのは難しくないはずだとサソリは考えた。
すでにどんな姿をしているのかは話に聞いている。
ということは、自分たちと同じ参加者ならば、もし聞き込みをして見つからなかったとしても街の入り口をずっと張り込みしていればいつかは見つかるはずだ。
だが実際にはずっと街の入り口で待ち続けるということにはならなかった。
「私たちは新参者なのでよく分からなかったんですけどー」
ユラユラが告げる。
「こっちの狼さんも、そしてスウマさんがしたこともだいぶこの辺りで有名になってたみたいなんですよー」
サソリさんが一日で調べてくれましたー。
のんびりと言うユラユラ。実際、聞き込みを始めてから、拍子抜けするほど簡単に狼の元へたどり着いた。
ハイランドがわずかに顔をしかめた。
「つまり、してやられたということですか」
「噂が間違いでスウマさんがいい人だったらよかったんですけどぅ」
「姿を変えていた僕が、因縁の相手だと気づいた理由はなんです?」
「それは……」
ハイランドが以前に狼たちをいたぶった時、兵士と話していた会話がきっかけだったらしい。その時は、魔物が人間の言葉を理解しているなどとは思わなかっただろう。
サソリたちの事情を聞いた狼は、即座にスウマを怪しいと考えた。
ユラユラに向けてサソリは言った。
「教えてあげる必要はないんじゃないかな」
「……そうですね。内緒ですー」
ユラユラは笑った。