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87、戦い5

 くすくすとハイランドが笑う。

「さて、どうするつもりですか。このままでは僕に勝てないのは明白だと思いますけど。尻尾を巻いて逃げかえっては?」

「仲間で尻尾がないの私だけと知って地味にショックを受けてるんですけどー」

 ユラユラが言う。

「逃がしてくれる気はないんですよねー?」

「それはもちろん。ですが、逃げまどうあなたたちを追い詰めるのも楽しそうじゃありませんか」

「えー」

「正直な所」

 と、ハイランドが言った。多方向からの攻撃を、得体のしれない魔法で器用にさばいている。

「逃げたほうがまだ可能性があると思いますよ。あなたがたでは、僕に勝てないでしょう」

「足りない部分は愛とか勇気とかでカバーするつもりですー」

 のんびりとした声で、本気かどうかも定かではないことをユラユラが言った。普通なら冗談と切り捨てるところだが、彼女の場合ならあるいは真面目に言っているかもしれない。

 なんにしろハイランドに感銘を与えることはできなかったようだった。彼の手元に光が集まり、視線がユラユラを狙っている。

「少し痛い目を――」

 瞬間、背後から迫ってきた狼にハイランドは慌てて跳び退いた。その回避行動は魔法使いとは思えないほどに機敏なものだったが、かわしきれずに噛みつかれ鮮血ともに左腕が宙を舞った。

 ハイランドの驚愕の声が森に響く。

「なぜだ!? もはや動ける状態ではなかったはずです……」

「愛とか勇気とかのパワーですねー」

 そんなのんびりとした場違いなユラユラの声が、妙に印象に残った。

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