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83、戦い
ハイランドは穏やかな笑みを浮かべている。人に好かれるようなそんな笑顔だった。
そしてそのまま彼は魔法を放ってきた。
ばちばちと放出しながら放たれる電気の球。
それをいくつもよけながらマタタビが前進する。もう少しで剣が間合いに入るといった時に、マタタビの身体が吹き飛ばされた。まるで空気の壁に吹き飛ばされたような印象だった。
驚愕し剣を取り落したマタタビは、あわてて拾いなおすとその場を移動する。
続いてグラが炎を吐いた。が、やはりなにか見えない壁にぶつかったかのように吹き散らされてしまった。
「うわぁ」
まずい状況を理解してサソリは声を漏らした。相手のやっていることの種が分からない。なにかしらの結界のようなものなのだろうか?
だが、ユラユラが氷の礫を四方八方から降り注がせると、ハイランドは舌打ちしたようだった。防がれるが、あまり相手には望ましい状況ではなかったらしい。数個だけ氷がハイランドの近くに突き刺さった。
光明が見えたかと思ったが。
気づけば、鎧を着た人間が背後から斬りかかってきていた。