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80、人間の魔法使い

「――特別にあなたからいたぶってあげましょう」

 もちろんその次は、あなたのお仲間ですけどね。

 電撃に打たれて、身体を引こうとした狼をまた電撃の魔法が襲った。黒い狼の身体から煙が上がっている。 

 憎々しい表情で、狼はスウマをにらんでいた。

 だが、スウマは意に解さない。

「僕はあなたにもとどめを刺したはずです。ですが生きているということは、あなたの言うお仲間も生きているのでしょう?」

 スウマが剣を引き抜き、狼の足に突き刺した。うめき声があがる。

 突然のこの事態に、

「いったいなにが……っ」

 と人間の冒険者が叫んでいたことから、サソリは彼らが事情を知らないことを悟った。

 彼らの前で、みるみるスウマの身長が大きくなっていく。いや、大人に姿が変わっていく。

「お前が……」

 苦しそうな、狼の言葉。

 それを聞きながら。

 サソリは、着ている服まで大きくなるのはどんな魔法なんだろうなと場違いなことを考えていた。

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