77、話し合い
相手が話をしてくれる様子を見せて、ユラユラはほっとした様子を見せる。
事情を伝えるために彼女は告げる。
「ええとですねー。かくかくしかじかなんですよー」
そんな彼女の言葉に、狼は人間へと視線を向けながら答える。
「かくかくしかじかじゃ、分からない」
「えー。分かってくれたっていいじゃないですかー」
不満そうな様子でユラユラが言いながら、身体を移動させて空中に円を描く。宙を泳ぐように頭を下にして動くことを今までしていなかったので、その光景にサソリは驚いた。
仕方ないことだと思ったのか、誰になにを言われるでもなく彼女は話をやり直した。
「細かい話ははしょりますけどー。つまりこちらの人間さんたちが、なぜあなたが騎士団を狙っているのかを知りたがっているんですー。あなたですよねー?」
「ああ、そうだな……」
そう答えて、狼は鼻を鳴らした。
「理由を知ってどうするつもりだ」
「それはー……」
ユラユラがふと、こちらを振り向いた。
振り向かれたところでサソリは困るだけだが。意図を把握しかねていると、ユラユラが狼を向いて言った。
「お互いに得るものがあるかもしれませんしー」
「そんなものはない」
言い切られて、ユラユラは困ったように空中で揺れる。
とりあえずサソリは言った。
「ユラユラさん」
「なんですかー?」
「頼まれたのは通訳なんだし、理由とかはスウマたちに語ってもらえばいいんじゃないかな」
「ええと、ああ。そうですねー」
ぽん、と彼女は手を叩いた。