69、直前
小鬼の魔法使いとの戦いをサソリが終えてからしばらくして。ついにその時が来た。
つまりもうすぐ、スウマたちとの約束の時ということだ。
だいたいの準備は整ったように思う。それが十分な準備なのかどうかは、実際の場面にならないと答えは出ないが。
情報収集はした。魔法に対する経験も積んだし、成長点で成長もした。
ロビーでマタタビが笑っている。
「ふっふー。あたしの剣がまた強く……早く使いたいわね」
「自分の筋力をあげる方向にはいかなかったの?」
「両方上げたほうが効率がいいの。どっちも強化が進むにつれて必要な成長点が高くなっていくから」
「ああ……そっか。それだと武器がうらやましくなるかも」
言い分に納得してサソリがうなずいていると、マタタビが聞いてきた。
「サソリさんはなにか上げたわけ? 魔法耐性以外に」
「……毒をちょっとだけあげましたっ」
「毒? 微妙とか言ってなかった?」
「いや、まあ、最初のほうは必要な成長点も少ないし……それに」
「それに?」
「耐性がなさそうな相手なら効果は抜群かなと」
「ふうーん」
なにを考えているか悟られた気がして、サソリはそっと目をそらした。