61、報告
「と、いうわけで」
寮で全員集まって、サソリは聞き込みの結果を報告をしていた。
「事情はさっき説明したとおり。騎士団を襲っているのは僕らと同じような参加者で間違いないし、だいぶ強そう。狼型の魔物で、スピードが速く身体も頑丈。主な攻撃方法は噛みつき攻撃。鉄さえも噛み千切ったとか」
「おお、すごいな!」
青年の姿をしたグラが歓喜の声をあげる。
サソリは机の端に指を沿わせながら苦笑した。
「正直、参加者なのに敵とか鉄に噛みつける精神はよく分からないけど」
もとは同じ人間のはずだ。あるいはそういう忌避感を抱かせないように、ガイドたちが操作したのだろうか?
だが、それをするくらいならば他のことにもそういう精神に作用する力を使っているはずだ。
「獲得成長点の総数は僕たちよりもかなり上……まあこっちは六人いるけど。だけど、今の僕たちじゃ強さが足りないんじゃないかな」
それぞれの顔を見回す。
グラが力強くなんどもうなずき、カバも小さくうなずいた。カイトなどは興味なさそうにカップを手に取って飲み物を飲んでいる。
「スウマたちと合流する前に、もうちょっと戦いをして成長点を増やしたほうがいいと思う」
その言葉に反対はなかった。