6、選び2
ドラゴン好きの青年はどうやら、どんどん自分たちよりも先に進んでいるらしい。声が響く。
「なあ、なんかポイントがあるんだけど」
「成長点の使用を体験していただくために、最初から十点差し上げています。自由にお使いください。その後、魔物としての個体名を考えていただきます」
「へえ、かっこいい感じの名前をつけないとな。だが成長点……でかさ、か?」
首をひねって考え始める青年。
活発そうな女性がガイドに話しかけた。
「すばばーんっ、と敵を倒せそうなやつがいいんだけど。おすすめとかないの?」
「ずばばーん、ですか」
「どんどん敵をなぎ倒してすかっとするやつがいいわ!」
「では、カトブレパスなどは除外したほうがよさそうですね」
「かと……なにそれ」
ガイドのあげた名前に心当たりがなかったらしく、女性は眉をひそめている。話を聞きながら彼は、バジリスクの親戚だっけ、などと思った。
ガイドが女性に告げる。
「石化の視線を持った魔物です。状態異常を主とする魔物はあなたのお好みに合わないと思うのですが、間違いありませんか?」
「あ、うん。そうね」
「ドラゴンなどはいかがですか?」
「それはいや」
視線をドラゴン好きの青年に向けながら、顔をしかめて女性が即答する。
ガイドはそのあたりに興味ないのか、ただ話を続ける。
「物理攻撃と魔法攻撃などがありますが、お好みは?」
「うーん……魔法も気にはなるけど、物理攻撃のほうが手ごたえありそうよねー」
「でしたらこちらの巨人や――」
話を聞きながら。
彼は深く長く、息を吐いた。
(よし、決めた。この魔物にしよう)
強く思ったのと同時に、なにやら映像が目の前に表示される。これを使って成長点を割り振れ、ということらしい。
魔物を決めるために、アナログな本を使ったのはなんだったのか。
流れるように視線を動かし、強化するための項目を眺めていく。徐々に強化していくためなのか、身体の硬さなどはあまり必要な成長点が多くなかった。そのかわり、手を増やすなどの直接大きな変化が現れる項目は必要な成長点が多い。
(目に必要な成長点はちょっと安い……)
石化の邪眼などを持っていて目の数を増やせば、強力だったのではないだろうか。その場合は必要な点数が増えている可能性も高そうだったが。
欲しかったものには点数が足りなかったため、あとで取得しようと思って、深く考えずに成長点を割り振っていく。
あとは名前。
(…………)
彼はゆっくり顔をあげると、ガイドへと視線を向けた。