47、人間2
たとえば魔物の姿になったり。敵を倒して成長点を手に入れたり、倒された場合に魔石のあるところまで戻されたり。
どこかゲーム的な雰囲気に流されていた。
それが、カイトの言葉によって急に引き戻される。
「え、ええと。どうしても人間を倒したいって人、いる?」
サソリが訊ねると、人間を倒すことにやる気だったふたりもぶんぶんと首を横に振った。そのことにどこかほっとする。
同時に、昨日のカボチャの話を思い出していた。参加者の中には、人間を倒すか倒さないかで対立がある、と言っていたはずだ。今さらになってその意味を実感する。
「とりあえず、移動しよっか。ここにいて向こうから襲いかかられても困るし」
「そう、だな」
グラが、どこか落ち込んだ様子で同意する。
自然な動きで浮き上がったユラユラが、しばらく人間のほうを見てから降りてくる。
「なんだか倒した魔物をじっと見てますねー。動く様子はなさそうですー」
「じっと……?」
理解できずに、サソリは言葉を繰り返した。
「なにか、珍しい魔物だったとか?」
「普通のゴブリンさんでしたよー」
相手変哲のないゴブリンだったのなら、なおさら理解ができない。
困惑するサソリに、マタタビが若干不機嫌そうに言った。
「どうだっていいじゃない、そんなこと。移動するんでしょ」
「あ、うん」
猫の言葉に急かされるようにして、サソリは進み始めた。