41、朝
慣れない環境で眠りについて、目が覚めれば元の自分の部屋にいるのではないか。こんな夢を見たのだと妹に話して、夢が現実じゃなくて残念だったねと笑いあう。
あるいは、落ち着かなくて朝まで目が覚めたままなのではないか。そのことを仲間に話すと、仲間の何人かも同じような状況ををしていたり。
実際にはそのどちらでもなかった。
サソリは寝ようとしてからぐっすりと眠れたし、目が覚めても昨日やってきたばかりの慣れない個室のままだった。広めの部屋にカーテンの隙間からこぼれた朝日が差し込んでいる。
ベッドから起き上がると、照明用のリモコンにちらりと視線を向けて、ファンタジーな世界に似つかわしくないななどと思う。必要になればまた昨日と同じように使うのだが。
それからカーテンを開いた。まぶしさに目を細める。
身支度を整えて外に出る。時間のせいか道を通る人間は少ないが、きびきびとどこかへ歩いていく人や、逆にいままでそとで魔物を倒していたのか疲れ切った様子でのろのろと歩いてくる集団もいた。
いまはまだ、街のざわめきも少ない。
目の前に広がる街の光景に、なんともいえない感慨に浸る。
何度か深呼吸を繰り返していると、足音がして、二階からユラユラが降りてくるのに気づいた。