4、魔物へ
ガイドへの沸きあがった不信感は、そのまま流れるようにどこかへと消えていった。これこそ動物的な癒しの効果なのかもしれない。
ガイドは言った。
「これから二週間、あなたがたには魔物となって異世界で敵と戦っていただきます」
「え?」
「戦って勝利することなどにより成長点を獲得し、魔物としての強さを増すことができます」
「……ゲームじゃん」
思わずあきれたような言葉が漏れる。
ガイドはそれに反応するでもなく、沈黙を保っている。
やがて、人々の中から質問が続いた。それにガイドも淡々と返答する。
「二週間も拘束されるのは困るのですがー」「異世界での二週間終了時点で、あなたがたの世界での呼び出した瞬間にお戻しいたします」「た、戦いたく、ないです」「回復技などを使用して味方を援護する、という方法もございます」「そ、そういうことではなく……」「なあなあなあ! もしかしてドラゴンになれるのか!?」「はい。ドラゴンも選択肢のひとつです」「……なぜ戦わないとならないんですか。あなたがたのメリットは?」「お答えいたしかねます」
返事はしてくれるし口調は丁寧に聞こえるものの、どこか突き放されているようにも思える。ガイドにとってこちらは、その程度の存在なのかもしれない。
それはさておき、にぎやかな声が聞こえてきていた。
「なあ、もういいからはやくドラゴンにしてくれよ!」