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37、結論

 カイトは森に立っていた。悪魔の身体、と言われても実感がない。が、すでにこの肉体には慣れている。

 最初からこの新しい肉体についてほとんどのことは理解できていたが、それだけでは理解しきれないことがあるらしい。それがサソリにとっては木登りだったようだ。彼が登って行くのを、特に感想もなく眺める。

 木登りというのが今後にどう役立つのか分からないが、どうでもいいことだった。自分のことは自分で考えればいいし、サソリのことはサソリが考えればいいことだ。

 カイトが考えていたのは、自身の装備についてだった。サソリに対しては木登りの見物と言ったが、それほど興味があるわけでもない。ただ街の外で、悪魔の姿となって考えたかっただけだ。自分ひとりで考えているよりも、サソリが近くにいれば、いざ何者かに襲われたときも多少は役に立つに違いない。そういう計算からついてきただけだ。

 最初に思いついたのは斧や槌だった。威力が高いだろうと。だが心の中ですぐに却下する。扱うにはどう考えても筋力が必要だったからだ。それに自分の羽を考える。いずれ空を飛ぶときに、重量のある武器は邪魔になるだけだ。

 次に、スタンダードな剣や槍、といった武器を考える。いっしょに街まで来たマタタビは、どうやら剣を意識しているらしかった。彼女が剣を扱うのであれば、武器の種類は別にしたほうが無難だろうか?

 サソリが木を登り降りしている。枝の先へ進むつもりはないのか、単調に上下運動を繰り返しているだけだ。なにが楽しいのか何度もそれを繰り返す。

 見ているうちに、いい的だと思った。

「サソリさん」

「ん、どうかした?」

「魔法を当ててもいいですか」

「だめだよ!?」

 サソリが――当然だが――叫んだ。理由を問われたので魔法の練習によさそうだからと答える。彼がなにを思ったのかは分からないが、結局了承はなかった。

 こちらを不安に思っているのかもしれないが、それでもサソリは上下運動を続ける。

 その様子を見ながら、カイトは自分が空を飛び、移動することを考えた。空中から攻撃することを考えれば、敵は同じ地上で戦うよりも下に存在することになる。攻撃の当てやすさは剣よりも長い槍のほうがいいかもしれない。

(槍、か……?)

 だが、決心がつかない。あるいは空中から一撃を加えて離脱するだけなら、なかば体当たりのような勢いで突進することもできる。それならば槍でなくてもいいはずだ。考える。自分に必要なもの。合理的なものを、ことごとく。

 考えてから、決めた。

 盾だ。

 いまのところ攻撃は魔法で間に合っている。身を守る盾は無駄にはならないはずだ。いざとなれば盾で殴ればいい。

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