29、再起
カバを落ち着かせて、街を目指し進んでいく。
何度も敵が出てきたのだが、活躍したのは落ち込んでいたドラゴンだった。野生の敵を倒すにつれて、グラは元気を取り戻していったようだった。
「おりゃー!」
勢いよく敵に突進し、半ば体当たりでもしているような雰囲気に疑問を覚える。敵を倒し終わったグラに訊ねた。
「前より無茶してない? 敵の攻撃も受けてるけど大丈夫?」
「おお、サソリさん。よく聞いてくれた!」
グラは笑顔で――たぶんそうなのだろうと思う程度だが――言った。
「他の参加者にやられて、俺は後悔したんだ。なにもできずにやられてしまったからな」
「うん」
肯定していいのか分からなかったが相づちを打つ。
グラは気にした様子もなく、ぐぐぐっとためを作って言った。
「だから俺は……身体の強度を増した! これで少しぐらい攻撃を受けたってびくともしない。つまり、気にせず思いっきり攻撃できるってわけだ!」
耐久力を増したらしいグラの言葉に、考えることは同じなんだなとサソリは思った。
「もうみっともない姿は見せないからな」
「あはは……僕も頑張るよ」
「おう、負けないぞ!」
そんな会話を交わしてから、しばらく森の中を進んで。
グラが魔物に向かって飛びかかろうとして、動きを止めた。
それは魔物の数があまりにも多かったからではない。その魔物たちが、緑色の光をまとっていたからだった。
「げ」
サソリはうめいた。