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158/163

158、貫かれる

 思わずサソリはその光景を見ていた。

 急降下してきたドラゴンが、最後に見た時よりも翼の成長したグラが、大男に一撃を与えながら互いに弾かれるように距離を取る。

 本当ならばこのサソリの硬直は致命的だったのだろうが、他の人間もグラに意識がいっていた。

 はっと我に返り、周囲の人間が動き出す前に位置を変える。ひきつった表情を相手が浮かべるのを見ながら尻尾を叩き込んだ。

 サソリの行動に対処しようと数人が動き始めたところで、その声は響いた。

「来たぞ!」

 冷静に戦闘に加わっていなかった少数のグループからの、注意をうながす声。それが聞こえてそちらを見れば、サソリにもその姿が視認できた。

 ヒカゲが、そしてネズミのチュー太郎が地面を蹴って封印の場所まで駆けている。グラが降りてきたこの瞬間を好機ととらえたのだろう。

 冷静に警戒していた相手が残っていたというのは悔しいが、それでも多くの人数を封印の近くから引き剥がすことができた。

(もう少しだ……!)

 サソリは叫んだ。

「炎を吐いて! 少しでも足止めをっ」

「おお!?」

 驚きながらも案外素直にグラが炎を周囲にまき散らした。火球ではなく放射する炎。

 大男が怒りの形相で剣を振るった。

「てめえら……! あいつとグルか!」

 サソリの発言に、ようやく彼はこちらの襲撃理由を察したらしい。だが今さら気づいても意味はない。

 そしてサソリの視界の中で、ヒカゲが矢と槍で貫かれるのが見えた。

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