153、どんな種類が
祈りの言葉。それが宙に浮いている。気づけば言葉が光の粒となって、視界を流れていく。渦。そう大いなる渦のように流れを作りながら、言葉が、祈りが、そこにとどまっている。
暗さを感じるその場所で、光の粒がきらきらと輝いていた。
復活したグラが最初に感じたのは、感動だった。
それほどまでに神秘的だった。厳かな雰囲気を感じさせる神殿の中で、なによりも大事に設置されている透明な石。その内側に光が閉じこめられている。
グラが倒されてから初めて目にしたのは、自分を照らすその光だった。
跪いたままその光を見上げ、失敗したな、と彼は思う。具体的にはまだ考えが出てこないが、もっとうまい戦い方をするべきだったのだろう。おそらく相打ちになったのだと彼は信じたかったが、とにかく倒されてこの神殿まで戻ってしまった。
ほかの仲間は誰も戻ってこない。戦いのときにグラが知覚できた範囲でも、他に誰かが敗れそうな雰囲気はなかった。
いろいろ考えて、それからグラは慌てて立ち上がった。
このままでは、自分がいない間になにもかも終わってしまう。急いで戻ってもヒカゲと封印にするあれこれには間に合わないような気がする。だが、座ったまま考え込んでいても意味がない。
神殿を飛び出し、門へ向かって全力で走る。通り過ぎた人々が目を丸くしていた。
(ええいっ。なんかもっと便利なのないのかよ!)
グラは内心で毒づいた。
たとえば瞬間移動とか。そうでなくても投石器かなにかで目的地まで投げ出してくれるとか。乗り物でもいい。とにかく目的地へ早く着く手段であれば。
乗り物?
たとえば乗り物だったらどんな種類があるだろうかと思ったところで、グラは気づいた。
走りながら自らの成長点を確認する。
(これか……? ほかに方法はない、よな)