151、仲間割れの理由
そういえば、人間の参加者が封印を解こうとしているのは、よみがえったものを従えて手に入れるためだったか、と思い出す。
つまり、魔物を従えて戦っている人間側は問題ない。だが、それと対立している側というのはなんなのだろうか。見た様子では魔物を従えている側が数が少なく、徐々に魔物や操っている本人が攻撃に倒れ圧倒されていく。
サソリは問いかけた。
「これは……どういうことなのさ。仲間割れって言ってたけど、どういう理由で?」
「うむ。いや……仲間割れ、というのは正しくなかったかもしれないな。奴らが目的を同じくしているのは、封印を解くところまでなのだ」
どんどん減っていく魔物たち。
追い詰める人間側にひとり、大柄な褐色の肌の男がいた。金属ではなく皮の装備をしているように見える。両手で持つような長い剣を片手で降り回し、次々に魔物を切り伏せている。その剣の軌跡が鮮やかに感じられる。他の参加者よりも一際強い。
「言いづらいのだが、従える技能持ちは封印された魔物を従えて戦力を増そうとしている。そして、そのほかは……封印された魔物を倒そうとしているのだ」
「倒す?」
男の剣から、炎が吹き上がった。使用者の意思に応じて力を発揮する魔剣なのだろう。男を倒すために次々と魔物がけしかけられるが、それを苦ともしていない。
「封印されている魔物は強い。つまり、それを倒せばその強い分だけ自分が成長できると考えているのだ」
ヒカゲはそう言うと、小さくため息のようなものをついた。