147、長距離通話、がしたい
進むのに目印もなにもない森の中を、ただ歩いていく。
仲間の数はいつもよりひとり少ない。
ここにはいないドラゴンのことを思いながら、サソリは言った。
「今までは全滅しかしてこなかったから困らなかったけど……。戻されて離れ離れになった時のこと、話し合っておけばよかったね」
「生き別れしたときの合図の仕方は考えてたのに、意味ないわよね」
「生き別れって……それはただはぐれた時の話でしょ」
マタタビの言葉に、サソリは視線も向けずに言い返す。
マタタビは気にする様子もなく言った。
「今頃はグラも街の外で魔物と戦ってるのかしら」
「いや……戦ってはいないみたいだよ。成長点が増えてないから」
敵を倒せば成長点が仲間にも入るため、それを確認することでグラが戦闘をしたかどうかは分かる。
見えない部分で仲間はつながっている。
「……離れても成長点を分配できる機能があるんだったら、離れてても話ができる機能を用意してくれればいいのに」
「あー。そういうのあれば便利よね。出かけてる人にお使い頼みたくなった時とか」
マタタビが何度もうなずく。
そういうことじゃないんだけど、とサソリは思った。