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141、盾
「落ち着いて!」
と叫んだが聞こえたかどうか。
サソリの目から見て、明らかにグラはいらだっているようだった。連続で火炎を吐きだして敵に放出している。
そちらに近づこうと思ったのだが、サソリのほうへも鎧を着た大男が寄ってきていた。それを無視するわけにもいかない。
男の片手にある長柄の斧が振り下ろされるのをよけると、続けざまに分厚い盾が押し出される。機敏に動くことでどうにか衝撃を回避した。
負けてなるものかと機を見て尾を突きだす。
が、大盾が動いて弾かれた。
呆然とする。
サソリにとってこれ以上の攻撃力を持つものはないが、あっさりと防がれてしまった。後ずさると、大男が嘲笑を浮かべた。
「はっはっは!」