139、炎を吐く
その人影が見えたのは、警戒するよう声があげられてからすぐだった。
「ちっ、魔物かよ。どこに消えたんだ、あのサムライ女は」
紫のオーラをまとった六人組だった。つまり人間の参加者だ。
身構えるグラの耳に、サソリの声が聞こえた。
「お前達に封印を解かせるわけにはいかない!」
急に叫んでどうしたのか、とグラは思ったが、相手の反応を見るためなのだと気づく。サソリの宣言に対して、人間たちは馬鹿にしたような表情を浮かべた。
「おいおい、俺たちの邪魔をする気かよ。どこから情報が漏れたのか知らないが、お前達には関係ない話だ」
「ま、関係なくてもお前らを見逃す理由にはならないけどな。ははは」
どうやらもとから話し合いで済ませる気はないらしい。そのほうがこちらとしてもやりやすい。
思わず好戦的な笑みを浮かべると、人間の中のひとりが言った。
「お、ドラゴンがいるぞ。ドラゴン」
「ちょっと。あんなよわっちそうな雑魚ドラゴンどうだっていいでしょ」
唖然とした。
そして、怒りで身体が熱くなる。グラはそのほとばしる感情を、炎に変えて口から吐きだした。
(誰が雑魚だ――ぶっつぶしてやる!)