138、問題
かっこよく、そして強くなりたいとグラは考えていた。
そのためには人間の参加者との戦いで、自分をどう見せつけるか、というのは非常に重要に思えた。もしかしたら、戦った敵の中にあんなに強いドラゴンが! と噂されるようになるかもしれない。そのことを考えると笑みがこぼれるのをこらえきれない。
ただ、問題がふたつあった。
ひとつは、人間の参加者が強いだろうということだ。しかもどういう成長をしているか、ぱっと見ただけではわからないはずだ。
ただの戦士に見えて、実は素早く動き回り弱点をついてくるかもしれないし、突然呪いをかけてくるかもしれない。互角に戦えていると思っていたら実は相手が神官戦士で、自分を治癒し始める可能性だってあるだろう。油断はできない。
もうひとつは、仲間の中にふたりもライバルがいることだ。
目立つためには自分が一番でなければならない。
最も厄介なのがケット・シーのマタタビだ。身軽な動きで次から次へと攻撃を繰り出し敵を倒していく。攻撃が当たればもろいのだろうが、そういう場面も少ない。正直、敵を倒す速度でグラは彼女に及んでいなかった。
そしてサソリだ。動きが素早く、身体は頑丈で、そして尻尾から繰り出される攻撃が強力だ。そのぶん応用が効かず、火を吐けたり空を飛べるようになるグラとは違ったが、ライバルだと思っている。
グラは悩んでいた。さすがにカイトに負けることはないのだが……。