136、様子見
刀を持った少女、ヒカゲが去ってから。
カバがおずおずと言った。
「そのぅ、封印が解けたら、まずいんんじゃ……」
「まずいだろうね」
サソリも肯定する。個人的な意見を言うのなら手伝ってもいいとは思う。だが、ヒカゲが信用できるかどうかは別だ。
グラがつまらなそうに言う。
「護衛したって成長点がはいるわけじゃないしなー」
「他の参加者と戦えばそれなりに入るんじゃないですか」
「そうか、人間の参加者を倒したらどうなるのか気になってたんだよな」
カイトの言葉に、グラが何度もうなずく。
マタタビが口元に手を当てて上下させる。
「あたしは邪神が復活したほうが楽しいと思うけど」
「いや、邪神とは言ってなかったと思うけど……」
サソリが訂正するが、彼女は興味なさげだ。
ユラユラが浮かびながら、どこか遠くを見ていた。
「この近くに人間さんの街もあるんですよねー。そういう悪いものが復活したら困ると思いますー」
「ああ、それはちょっとまずいわね」
マタタビが口に当てていた手を下して、顔をしかめた。
それから言う。
「じゃあ、とりあえず手伝ってあげればいいんじゃない? その結果前回と同じ流れであたしたちが裏切られたとしても、まあ気乗りはしないけどちょっと成長点が減らされるだけだし」
「邪悪なものも復活すると思いますけど」
「う」
カイトからのツッコミに、マタタビがうめく。
ここまでの話を聞いて、サソリは言った。
「よし。問題はあの子……ヒカゲちゃんの言ってることが本当か分からないことだよね」
「なにか解決策でもあるの?」
顔を向けながらマタタビが聞いた。
サソリは軽く肯定した。
「しかたないから、とりあえず追いかけて様子見すればいいんじゃないかな。お前に邪悪なものを復活させはしない! とか相手が言ってきたらヒカゲちゃんが嘘をついていたってことだろうし」
「まあ、そうだろうけど。そんなにうまくいくわけ?」
「ここで悩んでるよりはましじゃないかなと」
「それもそうね。よっし、出発しましょ!」
マタタビが元気に宣言する。
そんな中、カイトが淡々と言った。
「このまま追いつけない可能性もありますけどね」
「……まあ、その時は縁がなかったということで」