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132、刀と少女4
幻想的な光景だった。
ただでさえ虹色の光がきらきらとこぼれ落ちてきているのに、さらにカーバンクルの放つ温かな光が周囲を彩っている。
癒しの光に照らされて傷が治っていく少女の姿を見ながら、グラが重々しい口調で言った。
「あいつを倒したらかなり成長点が手に入ったんじゃないか」
「だめですよー。そういうこと言っちゃー」
「ごめんなさい」
ユラユラに注意をされて即座に謝っていた。
やがて回復しきった少女が、森の中、サソリたちに身体を向けて正座をした。少女は落ち着かせた声で言う。
「助かった。回復していただいて感謝する」
澄んだ瞳がこちらを見つめている。
「私はヒカゲ。こちらのネズミは、ペットのチュー太郎だ」
「……ペット?」
疑問に思って問いかけると、ヒカゲはうなずいた。
「ああ、ペット……召喚のスキルで呼び出した、あるいは作り出した味方だ」
その言葉を聞いて、カイトが言った。どこかで聞いたような言葉を。
「このネズミは人間だ」
「違ったね、うん」
自分の過去の発言を思い出して、サソリは顔を背けた。