130、刀と少女2
少女はサソリたちを見つけると、力を振り絞った様子で刀を構えた。
決意の表情が見える。
「魔物の参加者……だが私はここで死ぬわけにはいかない……!」
その声には意志が宿っていた。何事にも左右されない、確固たる思い。
その言葉を聞きながら、紫のオーラをまとう少女を見ながら、サソリは思った。
(参加者なんだかから、死なないじゃん。ガラスの王国とやらに戻されるだけだろう)
そのことは間違いないように思えた。
あるいは、そんな場所があるのかは知らないが、別の場所から来てまだ帰還地点が更新されていない、ということならありえるのかもしれない。それならここまで来た苦労を水の泡にしたくないのも分かる。だが、その可能性は低く思えた。
とにかく交戦の意思がないことを伝えようと思った時、カバがサソリの身体を揺さぶった。尻尾の針が危ないので近づかないで欲しい。
「ほ、他にもなにか来ます。速いですっ」
その言葉に真っ先に機敏に反応したのは刀を持った少女だった。
彼女が振り返った先に、数人の人間が現れる。それぞれ、身体の周りに紫のオーラ。
「どうやって姿を消したのか知らないが、ようやく見つけたぞ……」
やってきた人間の中のひとりの男が言う。
少女は言い返さなかった。その時にはもう相手の懐に飛び込んでいる。
気づけば刀が振り抜かれ、血しぶきが舞った。
そしてカバの悲鳴が響き渡った。