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115、語らないで
グラが難しい表情をして言う。
「今回あんまり活躍できなかったからな……くそ」
「あー。痛そうな攻撃受けちゃってたしね」
グラが手足を貫かれていた場面を思い出して、サソリは顔をしかめた。あの光景を思い出すだけで自分まで痛い気分になってくる。
話を聞いていたユラユラが、のんびりとした口調で言った。
「でも、グラさんが活躍しそうだから真っ先に攻撃された感じがしましたけどー」
「そ、そうか?」
グラが驚いたように聞き返す。
サソリは軽くうなずいた。
「他の人はほとんどあしらわれていただけだったのに、真っ先に攻撃されてたよね。あの時、狼のほうを攻撃したってよかったはずなのに」
「お、おお……」
「ま、存在感はあるもんね」
マタタビが軽い調子で言う。
グラは頬を緩ませ鼻がぴくぴくと動いていた。どうやら嬉しかったらしい。
そしてそれからドラゴンのかっこよさへの熱い思いを語られて、サソリはそっと視線を逸らした。