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113、することないし
それから、ユラユラはくるんとその場で縦に一回転してから、諦めたように言った。
「おとなしく魔力を回復する方向で考えたほうがよさそうですねー」
「そうかもね」
「最大値を上げる選択肢もあるみたいですけどー、バランスをもうちょっと考えてみますー」
「そういえばカバちゃんも魔力の回復量を成長させるとか言っていたような……」
サソリが顔を向けると、カバが怯えたようにびくりと身体を震わせた。
相変わらず、尻尾が増えたサソリに慣れていないらしい。そのことにもういちいちなにかを感じることはない。
「……帰ろうかな。街に」
「打たれ弱すぎでしょ」
マタタビが若干じと目でそんなことを指摘してきたが。
サソリは首を横に振った。
「いや、ここにいても、もうなにもすることないし」
「そりゃそうかもしんないけど」
街に戻って情報収集もしたくないしなー、とかマタタビはぼやいていた。まだ霊体の敵が気になっているらしい。
結論が出なかったユラユラが、私も戻りますー、と言っていた。