111、空中を浮遊
いいこと思いついた、とばかりにマタタビが言った。
「じゃあもっと強い敵がいるところまで行ってみればいいのよ!」
「さすがにそんな元気はないよ」
サソリはあっさりと彼女の提案を否定した。マタタビがひとりで行く分には構わないが、自分までついていくつもりはない。
「別に今すぐ試さなきゃいけないってわけじゃないし、そのうちでいいよ」
「ふーん。そう。あたしはちょっとせっかく武器につけた霊体攻撃特性が気になってるんだけど……見つかりそうにないしねぇ」
適当に探して霊体の敵に遭遇するのなら、すでに出会っていてもおかしくない。
マタタビは自分の剣を見てから、ちらりと視線をサソリに向けた。
「サソリさんは霊体に攻撃する特性は取らないの?」
「霊体とあんまり戦いそうな気がしないし」
「…………」
答えると、マタタビが不満そうに沈黙した。
サソリは言葉を付け加える。
「ほら、魔法攻撃できる人も多いしさ、マタタビさんも攻撃を当てられるようになったし、それほど必要なさそうでしょ」
「それはそうかもしれないけど」
マタタビが少し考える様子を見せてから言った。
「サソリさん、空を飛んでる敵にも幽霊にも攻撃できないけど、大丈夫なわけ?」
「うぐぅ」
痛いところを突かれてうめく。
自然と顔をそむけて、どう成長すべきかいまだに悩んでぐるぐるしているユラユラのほうを見てしまったが、それがきっかけでふと気づいた。
「思ったんだけど」
「なに?」
「幽霊もだいたい空飛んでない?」
「そりゃそうね。ん、あれ? じゃああたしの剣も当たんない!?」
マタタビが強化したばかりの自分の武器を見て、叫んだ。




