105/163
105、そうだね
帰り道。
森の中を歩きながら話をする。
「強かったねぇ、ハイランド」
「そうですね」
サソリの言葉にカイトが軽くうなずいた。もう一組の参加者たちはわいわい騒いでいて、なんというか温度が違う感じがあった。
向こうと比べてサソリたちは比較的静かというか、疲れ切った感はある。
「あんなに強い魔法使いが、たくさんいるのかな」
「いてもおかしくはないんじゃないですか。そもそも、僕たちがそれほど強いとは思えませんし」
「そっかぁ」
別に他の魔法使いと戦うと決まったわけでもないのだけれど、なんとなくうんざりとする。
カイトがつけくわえた。
「まあ、彼自身が言った通り、彼が大魔法使いだという可能性もなくはないですけど」
「……どっちだと思うの?」
「貴族らしいですし、それなりの教育を受けているとは思います。少なくとも中の上よりは上なんじゃないですか」
それから、彼は言った。
「いいんじゃないですか」
「え?」
「僕たちだってこれからも強くなるわけですし、気にしすぎなくても」
「……そうだね」