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103/163

103、そう思っておくことにする

 うっかりと思わぬ形で手に入った成長点に浮かれてしまったが、座り込んだ黒い狼の姿を見てサソリは言葉を止めた。

 闇を閉じこめたようなその毛並みも今はもうくたびれている。

 おずおずと、言葉をかける。

「あー、その。ごめん。取り逃がしてしまって」

「いや、いいんだ」

 狼はゆるゆると首を振った。

「成長点が手に入ったということは、あの人間は死んだってことだ。……実際にはどうか分からないが、俺はそう思っておくことにする」

「そっか……」

 狼自身がそう言うのなら、サソリには何も言えない。

 ふと、幽霊が声をあげた。

「おやー?」

 幽霊の視線をたどると、そこには人間の冒険者たちがいた。こちらに見られて硬直しているが、さきほど見た時よりも遠くにいるように思える。

 ユラユラが言った。

「帰るんですかー?」

「あ、ああ」

 引きつったような人間の声。

 ちらりと森の奥を見てから、

「依頼人もどこかに逃げちまったみたいだし……その、なんだ。ここにいる理由はないからな。街に、戻ろうかと……」

 そこまで話を聞いて、気づく。彼らはこちらに襲われることを懸念している。

 サソリはカイトに話しかけた。

「どうしよう。もしかしたら依頼人がもういない可能性があること、話しておいた方がいいかな?」

「納得させるためには、成長点のことまで説明しないとなりませんよ。それに生きているかもしれません。やめておいたほうがいいのでは」

「それは……うーん」

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