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アリューとマダムと僕たちと

アリュー爺さんの働きで、マラボの山賊・クイガン達から逃亡することに成功。

逃げ込んだのは何と高級娼館!別世界の豪華さに目を見張るヨルー達。

しかし、そこで思わぬ人物との出会いが…。

今回の語りはヨルーです。


 僕はその夜、世の中には「別世界」があることを初めて知った。


 その屋敷の中へ足を踏み入れた時、あまりの目映さに僕らは棒立ちになった。

 まず、びっくりしたのがその明るさ。まるで昼間のようで一瞬眼が眩む。その灯りは高い天井から下がるたくさんのロウソクとガラスで出来ていた。ドーム型の高い天上には真っ白な漆喰で模様まで描かれている。それだけじゃない。床は2色の石で異国風の凝った模様が一面に施されていて、表面に凹凸がまったく無い。すごい!白壁を縁取る柱にも美しい彫刻がされていて…ああ、上げればきりがない!

 今まで見たこともない豪華な作りに、ただただ呆然とするばかりだった。

 微かな咳払いで我に返る。あまりにも僕らが(ほう)けたように動かないもので、呆れた案内人が発したものだった。僕らはぎこちない足取りで彼の後に続く。

 …えらく場違いなところに来てしまったけど、大丈夫かな。


 案内人について廊下を歩く。壁に等間隔で取り付けられた燭台型の灯りで十分に明るい。使用人はロウソクを持たずに行き来が出来る。料理を乗せたトレイを運ぶ使用人とすれ違った。両手が仕えるから一人で運べる。画期的だ。まあ、こんなお屋敷だから出来ることだよね。

 1年分のロウソクを蜜蝋から作ってる坊っちゃまの家では、こんな贅沢は出来ないな。それでなくても最近、坊っちゃまのせいでロウソクが不足しがちで、節約しなくちゃならない。 

 ふと気がつくと足元がフカフカする。見ると、廊下には真っ赤な絨毯が敷き詰められていた。もしかして長い廊下、全部!?…いや、まさか…本当に全部だ、…しかも、階段にまで。


 廊下では使用人以外、誰にも会わなかった。漂う香水の残り香や、部屋から漏れ聞こえる話し声や笑い声で人の気配は感じる。例えドアが開いていても花々や調度品に遮られて部屋の中を伺うことは出来ない。 もしかして、とても高級な宿屋なのかな。宿場の安宿しか泊まったことがないからわからないけど、金持ちの商人とか騎士とか貴族が相手なのかもしれない。

 それなら、軍を退役した人達が門番をしてるのも納得がいく。泥棒に入られたら大変だもんね。

 でも、すごく意外だったよね。アリュー爺さんにこんな煌びやかな館の知り合いがいるなんて…。

 僕の中では爺さんは「山の住人(ひと)」だ。それが自然でしっくり来る。考えて見れば、タスコー村に来る前の爺さんのことは何も知らない。昔はご領主様の軍隊にいたってことぐらいだ。その頃の知り合いなのかもしれない。う〜ん、人に歴史あり…てことかな。

中へ入れてはもらえたけど、あまり期待はしない方が良さそうだな。こんな立派な所に泊まれるお金なんて無い。それどころか、文無しだし。例え、納屋でも倉庫でも雨風しのげるなら御の字だ。

 かえって立派な部屋に通されたら…そっちの方が恐い。目玉が飛び出るほどのお金を請求される…なんてことになったら…!

 そんなことを考えていたら、絡めた腕にギュッと力が入るのを感じた。ラシュアが不安な様子で、僕の腕にしがみついている。僕の緊張が伝わったらしい。いけない。しっかりしなきゃ。

 今度は僕がラシュアの腕を揺らす。見上げた鳶色の瞳に笑いかけた。彼女もホッとしたように笑い返す。

  大丈夫。彼女と一緒なら、僕は強くなれる。その時はその時だ、ちゃんと交渉してみせるさ。

「気楽でいいな。お前達。」

  坊っちゃまが後ろで盛大なため息を吐く。ラシュアはキッと振り向いて言い放った。

「男の嫉妬はみっともないよ。」

  あまりの言われように、 坊っちゃまが二の句を継げずにいると、

「こちらで暫しお待ちを。」

  そう言い残して案内人はさっさと立ち去っていった。呆気にとられてその背を見送る。

  気付けば、僕らは重厚な扉の前に取り残されていた。


  結構な時間、待たされた。

  最初は緊張から黙っていたけど、疲れと空腹から坊っちゃまがイライラし始めた。髪を掻き揚げたり、盛大にため息をついたり、足を踏み鳴らしたり。まさか、こんな場違いなところで癇癪をおこして怒鳴りちらしたりはしないだろうけど、ラシュアと喧嘩を始めそうだ。ラシュアも相当我慢しているのが、繋いだ手から伝わってくる。

  限界が近づいた頃、廊下の奥からアリュー爺さんが現れた。見慣れない瘦せぎすの老紳士を伴っている。

「よう、待たせたな。」

 灯りのせいか、顔色が冴えない。いつもよりシワが目立って、疲れた顔に見える。

「ここの執事のジョルディだ。」

 ああ、この人がジョルディさんか。立派なお屋敷の執事というだけあって、上品で威厳がある。でも、目が優しく微笑んでいたので、ちょっとホッとした。

「ようこそ、お出で下さいました。」

  名前を言って握手をした時、ジョルディさんが食い入るように僕を見るので、ちょっと焦った。顔に何か付いているのかな。爺さんは優しく笑いながら、紳士の肩を叩く。

「…ジョルディ、頼む。」

 彼は我にかえったように頷いてノックをし、

「マダム、お連れしました。」

 と短く告げた。


「お入りなさい。」

 

  張りのある女性の声が返ってくる。ジョルディさんがドアを開けると花の香りに包まれた。

  甘く芳醇で華やかな薔薇。まるでバラ園にいるみたいだ。う〜ん、良い香りだ。あれ?でもこの香り、どこかで…

「ご機嫌よう、グラートさん。早速いらしていただいて嬉しいわ。」

  部屋で艶然と微笑んでいたのは、昨日のマダム!じゃあ、ここは……しょ、娼館⁉︎

「ご機嫌よう、マダム。こちらこそ、昨日はありがとうございました。」

  知った顔の出迎えにホッとした坊っちゃまは、マダムの手を取り挨拶のキスをする。

「部屋を用意させるわね。ジョルディ、誰か空いてる()は居るかしら。」

「こいつらが店の客に見えるなんざ、老眼が進んだんじゃねぇのか?」

  マダムの言葉を遮って爺さんが言い放った。ヒクリと、マダムの片方の眉が跳ね上がる。

「いいえ。先日ウチの子がお世話になったのでねぇ、お礼にご招待致しましたの。…それより、幽霊かと思ったら、ちゃ〜んと足が付いてるみたいねぇ。」

  気のせいか、空気がどんどん冷えて行く。…マダム、何故か交戦的?

「憎まれっ子、世に憚かるて言うじゃねぇか。しかも、こいつらと昨日のうちに会っていたとはねぇ。縁ってなぁすごいねぇ。それなら話しは早えぇ。コイツらをひと月ほど泊めてやっちゃぁくれねぇか。」

 マダムはフンと鼻を鳴らしてうそぶく。

「お生憎様。ウチは宿屋じゃないんでね、他を当たってちょうだい。定宿の『猫の城亭』とか、『ポポイの宿屋』とか、そちらへどうぞ。」

 爺さん、ちょっと苦笑い。肩をすくめて、

「ちょいと事情があってな。コイツらだけでいいんだ。コイツらはな、俺の連れだが、()()()()()()()()()()でもある。」

  爺さんは臆する事なく、いつもの調子で話している。すごい。やっぱり年の功だ。

「紹介するぜ。このラキムはバルデの息子。そして…ぺレンとエマンの息子のヨルー。」

 マダムがハッとして僕を見る。何だろう。さっきといい、何で僕が注目されるんだ?

「あ、あたしはラシュア!」

 真っ赤になりながらラシュアが自己紹介したけど、可哀想なことに誰も聞いていない。

 マダムは切な気な表情でジョルディさんを見る。頷く彼は涙ぐんでいるようだった。そして、もう一度僕を見ながら歩み寄って記憶を辿るように僕を見つめた後、優しい顔で目を細めた。

「ハの字眉はペレン譲りね。」

 温かな手のひらが僕の頬を捕らえる。薔薇の香りが強くなった。

「瞳はエマン。」

 え?と、思った時には頬に口づけされていた。ラシュアの息を飲む音。心臓が飛び跳ねる。

「よく来たわね、ヨルー。昨日は気付かなくてごめんなさい。貴方のご両親は私にとって大切な友達だったのよ。その上、ジョルディの身内ですもの。心から歓迎するわ。」


 ーえ?今、何て?


 マダムは微笑みながら、ジョルディさんを傍らに招き寄せる。


「貴方のお祖父様よ。」


 身内?お祖父さま?突然、そんなことを言われて…頭が真っ白になった。両親から親戚の話しを聞いたことはない。だから今まで身寄りが無いものと思って、妹と二人身を寄せ合って来た。何故、今更…

 僕は混乱してしまって、どう反応していいかわからず阿呆のように突っ立ていた。


「…モイナ、悪いがこいつはまだ何も知らねぇんだ。」

 こめかみの辺りを掻きながら言うアリュー爺さんに、マダムが目を剥いた。

「どういうこと?」

「ちょいと問題が起きてな、話す前にここへ来ちまった。昔話はこれからだ。ーまあ、とにかく今日のところは休ませてやっちゃくれねぇか?こいつら、クタクタなんだ。」

 そして、ジョルディさんに向き直って、

「すまねぇな、ジョルディ。そういう訳だから、こいつに少し時間をやってくれねぇか。」

「…承知しました。」

 マダムの目が座ってきた。どうもマダムは爺さんに対して感情を隠す気はないらしい。

「ジョルディ、()()の部屋を用意して。食事もね。」

「畏まりました。では、お三方、どうぞこちらへ。」

 ジョルディさんは頭を切り替えたらしく威厳ある執事に戻って、坊っちゃま、ラシュア、僕を促して部屋の外へ向かう。爺さんは…と見れば、澄ました顔で一緒に後ろからついて来る。

 その時、後ろからピシリと声が飛んだ。

「アリューセン・デオ・トルラダ()

 爺さんは悪戯がバレた子どものように、ドアの手前で天を仰ぐ。

「貴方はこちらへ。」

 優しい声なのに、背中の毛が逆立つ。観念したように爺さんは回れ右をした。こちらに向けた背中がびっしょり濡れている!爺さんも緊張してたんだ。ドアが閉まる寸前、爺さんの背中越しに見えたマダムは目映いばかりの笑顔を讃えていた。でもやっぱり背筋が寒い。…爺さん、一体マダムに何をした?


 何となく無言で廊下を進む。

 目立たない裏の階段を3階まで上がり、今までと雰囲気が違う廊下に出た。等間隔の燭台も無い簡素な作り。これは使用人用の屋根裏部屋だ。

 燭台を持って先を歩くジョルディさんの背中を見ながら、頭の中で『お祖父さま』という言葉がこだましていた。突然のことで、まったく実感がわかない。ただ、涙ぐむほど僕を待っていた彼の気持ちを思うと、とても申し訳ないような気がした。

 心無しか憔悴しているように見える背中に何か話しかけたくて言葉を探していると、唐突に坊っちゃまが口を開いた。

「ここは、娼館(クルディム)なんですね。」

 さっきの衝撃ですっかり忘れていたけど、そういえばそうだった!「百花の園(ファーナ・レマ)」っていったっけ。でも、そんな唐突に!もうちょっと言い方が…!

 ジョルディさんは、ちょっと間を置いて答えた。

「さようです。国家公認の高級娼館(デラ・クルディム)百花の園(ファーナ・レマ)』でございます。」

 高級娼館!?…ああ、何か納得!お金持ちばかりだから豪華なんだ!わあ〜、すごい所に来ちゃった!

 ふいに腕にギリリと痛みが走る。見るとラシュアが恐い眼で僕を睨んでいた。舞い上がっちゃったのが顔に出ていたらしい。ゴメン…もう遅いけど。

「アリュー爺さんとマダムを二人っきりにして大丈夫なんですか?」

 ジョルディさんが笑った気配がして、

「ええ、問題ありませんよ。…何か気がかりでも?」

「いや、だって、あんな粗暴な爺さんですよ。僕は心配だなぁ。」

 ジョルディさんは立ち止まって、こちらを振り向いた。

「お戯れを。旦那様はそのような方ではないと承知しております。」

 まあ、そうだね。爺さんは女性なら100歳の婆さんから幼児に至まで紳士だ。

「アリュー爺さんはただ口が悪いだけよ。言い負かされて物に当たるアンタじゃあるまいし。」

 ラシュア!僕が咎めるのが間に合わず、坊っちゃまが髪と同じくらい顔を真っ赤にして怒鳴ろうとした瞬間、クスリと笑う声がした。

 ジョルディさんが口に拳を当てて笑いを堪えている。

「旦那様とマダムのご心配は無用です。あれはいつものことですし、20年ぶりに会った照れ隠しのようなものですから。」

「20年ぶり!?」

 3人が口が揃った。

「ええ、そうです。20年ぶりの再会です。」

 ジョルディさんは噛み締めるように言った。

 ああ、なるほど。バルデ様とのように、喧嘩するほど仲がいいってことか。感情的になっても許される相手って…まさか恋人!?…20年もほったらかされたら、そりゃあ…マダムも怒るよね。


「では、こちらの部屋にラキムさんとヨルーさん。ラシュアさんはこちらへ。」

 急なことで準備が間に合わなかったと詫びながら通された部屋は、簡素ではあるけれど清潔だった。ベッドの寝具もカビ臭くない。おまけに着替えまで用意してあって、本当にありがたい。

 ところがだ。坊っちゃまはお礼を言ったものの、二人部屋かとボヤく。ラシュアに至ってはジョルディさんの袖を引いて、もじもじしながらこんなことを言い出した。

「あの、あたし、ヨルーと一緒がいいんだけど。」

 思わず僕も顔に血が上る。いや!…まあ…ぼ、僕も同じ気持ちだけど、で、でも…!

 ジョルディさんはやんわりとラシュアの手を解き、

「申し訳ないのですがラシュアさんは女性使用人と相部屋なもので、替える訳には参りません。明日は考えますので、今夜はご容赦下さい。」

 急に押し掛けてお世話になるっていうのに、二人とも自由過ぎる。礼儀をわきまえてほしいよ!

 去り際、ジョルディさんは僕を見つめて、こう語った。

「あなた達兄妹を一日たりとも忘れたことはありません。それだけは信じてほしい。」

 その眼はとても悲しくて、嘘を言っているようには見えなかった。きっと何か事情があったんだ。爺さんが言う『昔話』を聞くまでは、僕は考えないことに決めた。


 

 眠れないかと思ったけど、我ながら呆れるほどぐっすり眠った。やっぱり疲れてたんだな。坊っちゃまの方が眠れなかったらしく、腫れぼったい眼をしていた。

 朝食の後、坊っちゃまと僕はマダムに伴われて敷地内にある別棟に案内された。

 簡素な造りの廊下の先には扉。樫の頑健な扉を開くと、中は広々とした部屋だった。少し薄暗く、淀んだ空気と独特の匂い。これって何の匂いだっけ。知ってるような気がするんだけど。家具はほとんどなく、実用本意な大小の机とランプが所々に配置されている。

 何の部屋だろうーと思っていたら、擦れた声でつぶやく声がした。

「…何て、何て部屋だ!」

 坊っちゃまが壁を凝視しながら興奮している。壁?そこでやっと僕も気がついた。壁を埋め尽くすのは膨大な量の本!本!本!革張りの金文字の背表紙が、整然と天上近くまでびっしり埋め尽くされている。これだけの本を一度に見るのは初めてだ。

 坊っちゃまの反応がお気に召したのか、マダムがこの部屋の由来を話してくれた。この屋敷の前の当主・ドーラル王国国軍エルダー元帥閣下の書斎を受け継いだものだと。ああ、あの合い言葉の『エルダー将軍はご在宅』ってここからきてるのか。

「この屋敷はね、元帥閣下の別荘だったの。」

 坊っちゃまは目を輝かせて壁に魅入っている。ああ、そうか。これは坊っちゃまの部屋の匂いだ。ホコリとインクと古い紙の混ざった匂い。

「娼館に図書室なんて可笑しいと思う?」

 先に立つマダムは本棚を見上げて、背中で僕らに問う。返事は待たず、独り言のように答えを呟いた。

「これは、私達の武器庫よ。」

 武器?意味がわからず黙っていると、そのままスタスタ行ってしまう。僕はわからなかったけど、坊っちゃまはハッとして何か気付いた。考える面持ちでマダムの背を見つめながら歩を進めていた。


 図書室を抜けた奥の小部屋に通された。中にいたのは何と、アリュー爺さん。優雅に茶を飲んでいる。

「よう、おはようさん。よく眠れたか?」

 朝食の席にも居なかったので、本当に追い出されたのかと思って心配してたんだ。爺さんはどんな手をつかったのか、マダムと和解したらしい。二人は長の年月別れていたとは思えないほど、自然に馴染んでいる。夕べの今朝で、この替わり様…大人ってわからない。あの大汗を見た後だけに、事の顛末がすっごく気になる。


「さて、どこから話すか。」

 僕らが席に着くのを待って、爺さんが口火を切った。考えながら茶を飲む様子を見て、いつもの爺さんと雰囲気が違う気がした。そりゃあまあ、昨日までの小汚い旅装束から、大分さっぱりとした服に着替えていたのもあるけど、それだけじゃない。僕らの知ってるアリュー爺さんじゃなくて、違う顔をしている。多分…トルラダ隊長の頃ってこんな顔をしてたのかも。

 マダムも落ち着いたーというよりは、努めて無表情を作っているように感じた。そして、僕らに手ずからお茶を入れると、そのまま座に着いた。


「俺が昔、スエラ領の軍にいたのは話したよな。もう、30年近く前の話しだ。

 軍の公式書類に、こんなのがある。


『ダウラ朝3年2月マンクット領との領地(さかい)による紛争に終止符。カラ川を境とする覚え書きを交わす。

     同年3月11日 調印

     同年4月27日 派遣軍撤退開始

     同年5月30日 領都アスンに帰還

 派遣中の死 者    6名

     負傷者   33名

     行方不明者  5名(逃亡4名 不明1名)』


 俺が今から話すのは、その行方不明者にまつわる話だ。

  

 丁度、スエラ侯がラフトマ・セム・シャプト様から息子の現領主クダイに代替わりした頃の話しさ。俺は流れ者だったんだが、先代の頃から重宝されてたんでな、軍のまあまあな地位で部下もいた。

 当時、ジョルディはシャプト家の執事で、屋敷の敷地内に家族と住んでいた。ペレンはその一人息子で、将来は父の後を継いで執事になることが決まっていた。そのために、大学も出たんだぜ。

 まあ、そいつが何故か軍に入隊して来た。あの頃はちょいと国が荒れた時期でな、領主同士が領地を廻って諍いが絶えなかった。危機感を持って、もしもの時のために剣術と軍事を知ろうと思ったらしい。

 そんで、何故か俺の隊に配属されたのさ。まあ、剣術はからっきしだったが、生来の愛嬌と手先の器用さですぐ隊に馴染んだ。

 ある時、そのペレンが歌姫マラエーことエマンと恋仲になってな。まあ、びっくりしたがよ、若ぇもんにはよくある話しさ。領主の屋敷じゃ、夜会に歌姫をよく招いていた。ペレンは休暇のたびに屋敷の仕事を手伝っていたからな。そんとき、出会ったんだろうよ。

 歌姫マラエは、その名のごとく<聖なる声(マラエ・ベラ)>と呼ばれててな、その美貌と澄んだ歌声で人気だった。あのお堅い教会の行事にも招集されるほどさ。

 俺も、モイナを通じて知り合ったが、気立てが良い上に肝の据わったいい女で…いてっ!何を今更ぁ。

 ま、もちろん、そんな歌姫に熱を上げてたのは、ペレンだけじゃぁなかった。

 クダイもさ。代替わりして間もない上に嫁も貰ったばかりだったがよ、金にも女にも貪欲(どんよく)でな。まあ、だからだったのかもしれねぇし、何より若かったからな。自分の思い通りにならねぇことはねぇと思うような不遜なヤツだった。マラエも近いうちに妾にしようと目論んでいたのさ。

 ところがある日、二人の逢い引きをヤツが見ちまった。しかも相手は使用人の息子だ。ハラワタが煮えくり返ったにちげぇねぇ。

 だが、感情に任せてペレンをどうこうしようにも、()()()()()()()()。表向きはどうでも屋敷内の実権はまだまだラフトマ様が握っていたからな。理由もなく、代々執事を勤めるジョルディの息子を追い出すわけにはいかなかったのさ。

 だから、争いが激化していたマンクット領との境界に、ペレンもろとも俺の部隊を送りやがった。援軍てぇ名目でな。ペレンには現地の現状を報告させるためとか、理由までつけてな。

 まあ、俺もクダイとは昔からソリが合わなかったし、事あるごとに盾突いてばかりだったからな。二人を厄介払い出来れば一石二鳥と考えたんだろうさ。


 ところがだ。世の中うまくしたもんで、着任した途端、隣りのマンクット侯も代替わり。新しい御領主様は争いごとを好まぬお方で、話し合いで紛争が納まちまった。いや〜、思わず笑っちまったぜ。

 俺達は残務処理をしてからアスンに向けて帰路についた。負傷兵を連れてたんでな、早くは進めねぇが天候にも恵まれて、順調な旅だった。

それがな、都まで後5日の距離まで来た時だ。人気のない山道で一人の巡礼者が俺のマントを引いたのさ。すげぇ山奥で、巡礼街道からもかなり外れてる。こりゃあ迷子だと思って馬を降りた。

そしたら、これがお前ぇ…目深にかぶった汚ぇフードの下は、何とエマンじゃねぇか。あん時は驚いたぜ。一瞬、魔物にたぶらかされたかと思ったもんだ。

 俺は回りに気付かれねぇように、鷹揚に事情を聞いた。

 …聞いて二度びっくりだ。呆れた話しさ。クダイは俺達が都に戻る前に、マラエを強引に自分の(もの)にしようとしたって言うじゃねぇか。見下げ果てた下衆野郎だぜ。マラエはモイナの機転で難を逃れたはいいが、都じゃ逃げ場がねぇ。そこでそのまま、俺達の所まで逃げて来たと言った…正直よく無事に会えたと思うぜ。

 さて、どうしたもんか。マラエとペレンを逃がす。そう決めた。このままじゃ、命も危ういからな。

 ま、二人を逃がすための筋書きはこんなもんだった。

 まず俺は部下ペレンに、その巡礼者を近くの集落に送って行くように命じ、そのまま部隊を先へ進めた。

 合流地点でヤツを待ったが、丸一日経っても来ない。送って行ったはずの集落に別の部下達をやったが、そんな二人連れは来ていないという。

次の日、山狩りをしてみたが見つからず、その代わり崖下の川原でペレンの物と思われる血まみれのマントが発見された。ヤツは山で山賊にやられたと見て、俺たちは都へ帰って来たってことにした。

 帰ったは良いが、クダイはそんな話し信じる訳ねぇ。恋人同士が二人とも行方不明なら、駆け落ちと考えるのが普通だ。烈火の如く怒り狂って、執事のジョルディは解雇。そして追っ手を差し向けやがった。

そこで俺は、計画通り先代ご当主・ラフトマ様に相談したのさ。」

「相談…というより、ご注進申し上げたのよね。」

 爺さんはニヤリと笑った。

「ラフトマ様も薄々は感づいていたようだったがな。さすがに代替わりしたばかりで、そんな所行をしているとは思ってもみなかったようだ。お心を痛めて、すぐにクダイの行動を止めて下さった。ヤツは領主の座を取り上げるとまで言われたらしく、ジョルディの解雇を取り消して、追っ手を出さないと約束させられた。」

 綺麗なカップを手に取り、爺さんは美味そうにお茶を飲んだ。

 そうか、父さんと母さんは駆け落ちしたんだ。バルデ様の居るタスコー村に住み着いた。そして、僕とオーナが生まれたんだ。


「それから5年は何事もなく過ぎた。都を騒がせた歌姫失踪も時とともに忘れ去られた。お前達家族のことは、バルデが知らせてくれた。都に来た時に同期のクートフと飲みに行って、村の自慢話に混ぜて話して聞かせた。俺達は直接会わずにクートフ経由で聞いたのさ。それくらい用心してずっと連絡を取らなかった。だか、お前らが生まれて、そろそろ頃合いかと思い始めた矢先、状況が一変した。」

 爺さんは言葉を切った。

「先代御領主が亡くなられたの。」

 マダムの静かな声。

 手の中のカップの底に眼を落としたまま、爺さんは重い息を吐いた。

「…嫌だね〜執念深いヤツは。もう、すっかり終ったことだと思ってたのによ。」

 爺さんはマダムに視線を向けた。

「まず、ジョルディがシャプト家を解雇されたわ。」

 背中に冷たいものが走る。

「次に、モイナがスエラの高級娼館から追い出された。」

 吐息を付きながら、昔の話よと素っ気なくつぶやき、言葉を続けた。

「アリューは()()()()()()として、国境警備のためエジンへ派遣された。」

「ま、早い話し、飛ばされちまったのさ。」

 エジン…確か密林の中の国境地帯で、隣国との小競り合いが今も絶えない。人を食べる魚がいる川を国境線としている恐ろしい所だと聞いている。

「俺の話しはいいさ。」

 爺さんは軽く言い放った。

「まあ、連絡を取り合う前だったのが、不幸中の幸いだったぜ。…ただ、5年前の騒動があったからジョルディは覚悟していたらしいが、当時病身の奥方が体調を崩して呆気なくこの世を去っちまった。ありゃあ、見てるこっちも辛かったな。」

 胸に黒くて重いシミが広がって行く。シミは重さを増して僕を蝕んでいくようだ。

 その時、優しく僕の(こぶし)を握る手があった。マダムだった。知らない間に、膝に置いた手を堅く握っていたらしい。吸い込まれそうな紫の瞳が、気遣わし気に見つめている。僕は、息を吐き、肩の力を抜いた。

「ま、これが20年前にあったお前さんの両親の話しさ。」

 爺さんは、ズーと音を立ててお茶を飲み干した。僕は言葉もなく、ただその様子を眺めていた。都でそんなことが起きているとも知らずに、僕ら家族はタスコー村でのんびり暮らしていたんだ。

「なあ、ヨルー。」

 爺さんは僕を見てニヤッと笑った。

「この年になるとな、世の中の仕組みってぇのが少しは見えてくる。不遇に陥っても一つぐらいは好い事てのはあるもんだ。捨てる神ありゃ、拾う神てのもいるしな。」

 何を言い出したのかと戸惑っていると、戯けた仕草で爺さんは胸を張った。

「ジョルディもモイナも俺も、今はここにいる。しかも、元気だ。わかるな?」

 マダムが鼻で笑う。

「つまり、その後の人生をどん底のまんま泣き暮らしたわけでも、棒に振ったわけでもねぇってことさ。還って前より良いくらいだ。まあ確かに、一時はひでぇ時もあったさ。でもな、そんな時でも俺達には宝があったんだ。何だかわかるか?」

 爺さんは俺の目をまっすぐに見る。午前の光が部屋に入ってきて急に明るくなった。爺さんの目は鮮やかに青い。

「お前達、家族を守ったって誇りさ。」

 微笑む母さんの顔が浮かんだ。父さん、そしてオーナの弾けるような笑顔。

「俺達には家族はねぇ。だから、お前達を家族のように思ってた。いつか会える日が来るまで、生きようとそう思ったのさ。」

 幼い頃の記憶は曖昧で、ぼんやりしているけど、日だまりのような日々だった。緑に囲まれた小さな家で、いつも笑っていた。母さんの焼くパンの匂い、父さんが作ってくれた木のおもちゃ。木の実拾い、落ち葉のベッド、温かな暖炉の薪の爆ぜる音。家族が揃っていたあの頃の記憶は、今の僕にとっても宝物だ。

 爺さんやマダム、お祖父さんが守ってくれたおかげで出来た宝物だったんだ。

「結局、ペレンやエマンには会えなかったが、お前やオーナには会えた。」

 静かに微笑む爺さんに、マダムは穏やかな眼差しを向けている。

「俺は、生きてた甲斐があったと思ったぜ。お前達の中に、二人はちゃんと生きてたからな。」


 マダムがお茶のお替わりを取りに部屋を出ると、沈黙を守っていた坊っちゃまが口を開いた。

「今回、爺さんが同行したのは、この話しをするためか?」

「…まあ、な。」

「ヨルーに…復讐をさせるつもりか。」

 ギョッとして、思わず坊っちゃまをみる。爺さんは苦笑いをして手を振った。

「そんなんじゃねぇよ。」

 爺さんは、顔を顰めた。

「あれから大分時間が経った。ヨルーも両親の事情がわかる年になったしな、そろそろ祖父さんにも会わせてやりてぇと思っただけさ。」

 御領主に対して腹は立ったけど、復習なんて思いもしなかった。偉い人のわがままに翻弄されるのは、いつも庶民だ。ただ、自分の家族が踏みつけにされたことが悲しいかった。

「まあ、ヨルーはそんなことを思いつくようなヤツじゃねぇわな。もし、そうなら俺は話しゃしねえよ。」

「じゃあ、何故僕が同席を?」

 確かに僕より坊っちゃまの方が憮然んとしている。理不尽なことが嫌いな坊っちゃまらしい。爺さんは呆れたように言った。

「お前はかりにもヨルーの主だからな。それにヨルーだけ呼んだらお前、拗ねるだろうが?」

「口を慎め!そんなこと、あるか!」

 爺さんも僕も笑ってしまった。質問攻めにされた後、拗ねるに決まってる。

「それに、バルデも無関係じゃねぇからな。血だらけのマントは元々バルデのモンを拝借したのさ。ペレンのダチだったが、駆け落ち当時ヤツは負傷して動けなかった。その後すぐ除隊したしな。だから、うまい具合にクダイの復讐リスト入りを免れたのさ。」

「ふん、あの親父らしい。」

 素っ気なく応じたけど、坊っちゃまの口角がほんの少しホッとしている。

「ま、これで話しは終わりだ。ジョルディに改めて挨拶してきな。」

 バンと背中を叩かれた。そうだ。ジョルディさん…お祖父さんにちゃんと話しをしたい。僕らを見捨てたわけじゃなかったんだし、お祖父さんが一番辛い想いをしたんだから。

「ヨルー、ちょっと待て。話しはまだ終ってない。」

 腰を浮かしかけた僕を止めたのは坊っちゃまだった。

「爺さんの過去の話は終った。だから、僕はこれからの話しをするべきだと思う。」

 …そうだね。これから定例会までどうするか…ちゃんと話さないとね。坊っちゃまは、やおら足を組んでふんぞり返った。

「はっきりさせたいことがあるんだが、いいか?アリュー。」

 爺さんが眉をひそめた。

「俺達がクイガンに捕まったのは、何故だ?」

「ボヤボヤしてるからだろ?」

「違う!アンタの借金の形に、誘拐されたんだ。そのために僕らは馬も荷物も失った。迷惑を被ったわけだ。違うか?あんたがクイガンに返済するまで、逃げ回らなきゃならないのか?」

 爺さんはボリボリと胸の辺りをかいて、面倒くさそうに顔を顰めた。

「…あーあー悪かったな。ま、荷物は宿に預けてあるから心配ねぇさ。後で何とかする。クイガンも…何とかするさ。」

「じゃあ、あとひと月、このままここに逗留するんだな?」

 坊っちゃまの目がキラッキラしてきた。

「…うん、まあ、モイナがいいと言ったらな。」

 どうにも歯切れが悪い。かみさんの顔色を伺う旦那みたいだ。爺さんはやっぱりマダムに頭が上がらないらしい。さっきの話しからすると、二人ともスエラの都で知り合いだったみたいだけどー結構、年の差があるよね。30歳ぐらい?やっぱり娼婦と客の関係だったのかな。何か、身近な人の色恋ってドキドキする。

 そこへマダムが戻って来た。後ろにジョルディさんを伴って。

 

 ジョルディさん…いや、お祖父さん!


 紳士な佇まいーそれは夕べの印象と変わらない。

 でも、昼間の光の中で見た白髪の目立つ髪や皺、深みのある青い瞳は、昨日とは違って見えた。僕はジョルディさんの前に立ち、その顔に朧げな父さんの面影を探す。あ、ハの字眉が僕と同じだ。不意に、同じように僕を見つめていたジョルディさんの瞳が揺れた。

 「…ペレン。」

 絞り出すように呼んだ父さんの名前とともに、僕を抱きしめた。言葉にならない想いが伝わって来て、僕もジョルディさんーお祖父さんを抱きしめる。お祖父さんは会えずに逝ってしまった息子、父さんの替わりに。僕は、ずっと家族を心配してただろう父さんの替わりに。背は僕の方が高いけど、何だか父さんに抱きしめられれてるみたいだった。

ー「ただいま」と「おかえり」が、胸の奥で聞こえたような気がした。


 僕らの気持ちが落ち着いた所で、坊っちゃは透かさずマダムに話しを切り出した。

「マダム、お話があります。」

「何かしら?」

「お、おい!」

 坊っちゃまは爺さんの制止を無視して、クヤデに着いてからここに来るまでの経緯をざっと語った。マダムは無言で聞いていたが、横目で爺さんを睨め付けていた。爺さんはマダムと目を合わぬよう、窓の外を見ている。

「…お話しはわかったわ。猫の城亭から貴方達の荷物と馬を引き取って来れば良いのね。ジョルディ、お願いするわ。」

「畏まりました。」

 マダムは僕らに向き直り、

「ひと月の逗留を許可します。ただし、使用人部屋よ。食事も彼らと一緒。そして、館で働いてもらいます。」

 僕にとっては願ったり叶ったりだ。雑用でも何でも、身体を動かしている方が良い。あ、でも、坊っちゃまは…そう思った時、坊っちゃまがずいっと前に身を乗り出した。

「マダム、僕は働きません。」

 え、そんなはっきり言い切っちゃまずいンじゃ…!僕が青ざめた時、坊っちゃまが言葉を続けた。

「もちろん、使用人部屋の宿泊代は払います。僕には、やりたいことがあるんです。どうか、ここに置いて下さい。お願いします。」

 マダムは沈黙。坊っちゃまを値踏みするように冷めた目で見ている。

「貴方のやりたいことって何かしら?」

「あの図書室の本を全部読みたいんです!読み切るには、ひと月ギリギリなんです。」

 一瞬、その場の全員が呆気にとられた。

 ああ、あの本の山!読みたくて読みたくてウズウズしてたんだ。坊っちゃまらしいや。

 ふいに、軽やかな笑い声がした。マダムが口元に手を当てて、可笑しそうに笑っている。

「面白い子ねぇ。」

 そして、笑いを納めてこう言った。

「でもね、使用人部屋はウチで働く者以外に貸す気はないの。ここを宿屋に使いたいなら1泊ドムナ金貨10枚よ。アリューの迷惑料なんて、金貨1枚分にもならないわ。」

 ドムナ金貨10枚!!話しには聞くけど、そんな純度の高い金貨、僕は今までお目にかかったことはない。

「お客以外、働かない者は要らないの。でも」

 そこで言葉を切って、坊っちゃまに流し目を送り、

「仕事が終わった後なら、使用人にも図書室の鍵を渡しているわ。」

 坊っちゃまの目が再びキラッキラ輝いた。だが、一瞬で陰る。

「でも、それだとひと月では、とても読み切れません。」

 ため息をつく坊っちゃまに、マダムは微笑む。

「多分、大丈夫よ。貴方が読めるのは、そう多くないと思うわ。まあ、ドムナ語とロダル語、モール語、その他の言語も読めるなら、別だけどね。」

 はぁ〜、外国語の本まであるんだ。さすが元帥閣下、偉い人はすごいなぁ。ドムナ語は大陸公用語で、僕もカタコトは話せるけど読むのは苦手だ。ロダル語は黒曜人の言語。黒曜人は隣国スコルナの少数民族だけど、もともとは一つの国だった。固有の文化を持ってて、スコルナ人より優れているのではないかと言われている。まあ、だから、迫害されてるんだけどね。モール語は我がドーラルの古語だ。

 試すようなマダムの言い方に、負けず嫌いな坊っちゃまに火を付けたようだ。挑むように笑って言い切った。

「半分は読んでみせます。」

 本さえ読めれば、文句は無いらしい。大丈夫かな、働いたことないけど。

「結構。励みなさい。」 

 マダムはお手並み拝見とばかりに満足そうに笑った。

 

 話しの最後に、「そうそう」とマダムは例の《身も凍る微笑》を浮かべて付け加えた。

「ウチの子達に手ぇ出したら、ただじゃおかないからね。」


 こうして僕らの高級娼館生活が始まった。


<つづく>


 





 



 


 




 

 


 

 




 




 




 

 



 





 








 



 

 

 




 





 

 





 

さて、高級娼館での生活、花祭り、定例会へと新たな展開へ!

乞うご期待!次回の語りはラキム坊っちゃまです。

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