9話 91~100日目
91日目。
竜人とゼロックスをやった。下手くそだった。
頭がいいのと勉強が出来るのは別物だと、改めて理解した。
竜人は知恵比べなら絶対に負けないって言っていたが、10歳の俺が勝てるわけがないので辞退した。
そのあと、エルダーリッチたちと知恵比べしていたようだ。
92日目。
久しぶりに浮島を見た。
あそこには神獣という伝説の生き物が住んでいるらしい。
機会があったら、見てみたいものだ。
四つ葉のクローバーみたいに見れたら幸運になるという噂もあるしね。
93日目。
シルバーフルーツとか言うゴールデンフルーツもどきを魔王が開発した。
品種改良のたまものらしい。
シルバーフルーツはレモンみたいな果実で、色が銀色だ。
食べてみると、ものすごく酸っぱい。きゅわああああああ!! ってなった。
魔王はこれからシルバーフルーツをパウダーにするらしい。
唐揚げに掛けて食べるんだそうだ。
酸っぱい物は揚げ物に合うらしい。マジか?
94日目。
久しぶりに釣りをした。
地下都市に住む奴らも一緒だ。
釣りの結果はいまいちだった。
おそらく、こいつらの不気味さを感じ取って魚が逃げたんだろうと思う。
そう言ったら、お前に言われたくないと言われてしまった。
お前が一番生物としてヤバい、とのことだ。
ただの10歳に何を言ってるんだろうな。
95日目。
姉上が料理をしていた。
やばかった。あと少しで、試食させられるところだった。
姉上は平気で虫とかを食べる人だから、料理がゲテモノなんだよな。
別にマズくはないんだけど、見た目が最悪なのだ。
どうやったら、そうなんの? っていう料理ばかり出来上がる。
グロ料理グランプリがあったら、優勝できるとはっきり言える。
俺は普通の料理で十分だ。グロ料理はロッグとでもいっしょに食べていてくれ。
96日目。
行商人がやって来た。
パイン、ホットチーズ、コーヒーを売ってくれた行商人だ。
今回はチョコという物を渡してくれた。
わざわざ氷の魔導具を使って、冷えた物を持ってきてくれた。
チョコは熱いと溶けるらしい。それに冷えた物が一番おいしいのだとか。
氷の魔導具は高い。というか魔導具そのものが高い。
大丈夫なのか聞いたら、あなた様から白金貨を貰ったので余裕ですって言っていた。
なるほど、俺の投資も無駄じゃなかったようだ。
チョコはそれはそれは素晴らしかった。中毒に成りそうだ。
世の中には、これをチーズフォンデュのように食べるチョコフォンデュという食べ方も存在するらしい。やばいな……。
チョコの材料というカカオ豆の種を貰い、俺は行商人に白金貨20枚を渡した。
次はどんなものを持ってくるのか楽しみだ。
97日目
謎の神の彫像にお供えしてきた。
掃除もしてきた。
今日のお供えは魚のフライだ。俺が食べたかったからだ。
お供えと言えば、魔王は贅沢品を作ってくれるからな。
魚のフライはとてもおいしく、シルバーパウダー(シルバーフルーツを粉に加工したもの)を掛けるとさらに美味しくなった。
もっと贅沢品を食べたくなったので、サトウキビを魔王に渡して育ててもらう事にする。
魔王は完全に農家兼料理人で、農業や養殖、料理のことで右に出る者はない。
前から竜人やエルダーリッチに知識を教えて貰い、腕を上げているのだとか。
こいつ、魔王じゃなくて職人って呼んだ方がいいんじゃないだろうか?
98日目。
森を歩いていたら光の柱が現れ、天使の様なものが降臨した。
白鳥の羽、天使の輪っか、と天使っぽい物が揃っていたのだが、灰色の肌に首のない彫像のような体というアンバランスさが不気味だった。
天使もどきは不協和音を奏でると、俺ごと大海原に転移した。
そこには天使もどきがたくさんいた。空が天使もどきで見えないのを見たときは、恐怖でチビりそうだった。
条件反射で俺は全力のゴーレムを纏った。
ゴーレムに殲滅を命令し、俺はゴーレムの中で恐怖におびえていた。
ゴーレムは天使もどきを千切っては投げ、千切ってはなげて天使もどきを減らしていく。
だが、天使もどきは、にゅっと増殖する。マジ恐い。
思わず、拡散多重追尾神罰術式を使ってしまったぐらいだ。
これにより、天に昇る流れ星の様な光が振り注ぎ、天使もどきを滅ぼした。
天使もどきを滅ぼしたはいいものの、帰り方が分からない。
困っていたらエルダーリッチが迎えに来てくれた。マジ助かった。
あいつらは、俺が作った魔石(ただ魔力をこめただけの物)を使って生み出した竜人の究極生物らしい。
一体一体がSSランクの実力を持ち、さらに魔力が続く限り無限に増殖するらしい。
失敗作だったのだが、うっかり逃がしてしまったのが三日前だと竜人は白状した。
あの天使もどきが何を思い、何を考えていたのかは分からないがマジで肝が冷えた。
あいつらレーザーとか出して、海水を吹き飛ばして海底が見えていたもん。
レーザーは俺の作った全力ゴーレムに弾き飛ばされていたが、もし簡易ゴーレムだったら、俺は死んでいただろう。
竜人を念入りにフルボッコにした。
そして俺は明日から、設備を強化することにした。
99日目。
天空都市を作った。
竜人に作らせたハイパー浮遊石を元に、技術の結晶を集めて作ったものだ。
設計図は昨日から徹夜で竜人に作らせたものが元だ。
これも少し罰になればいいなって思っていたが、竜人は三徹ぐらいなら平気……といってやがる。
とにかく、天空都市は出来た。これがあれば理論上、この星のどこにでも攻撃を仕掛けることが出来る。
竜を消すのは勿論、アリを誤差一つなく消せる代物だ。
天空都市の標準装備は簡易神罰術式、天使もどきが使っていたレーザーを改良したものだ。
とにかくこれで安全だ。究極の兵器! これで倒せないものが出たら、俺は大人しく死ぬしかない。
天空都市は巨大魔法陣で透明にしてある。地上の人にも太陽の恵みが降り注ぐので安心だ。
これで安心して眠れるぜ。
100日目。
今日は日記を書いて100日目、記念すべき日だ。
なので、魔王たちとパーティをした。
パーティのメインはチョコフォンデュだ。
チョコを贅沢に使った食べ方は、天にも昇るほどに美味しかった。
きまぐれで母上に日記書いてるよ、って言ったら偉いわねって言われたが、あの目はどう見ても日記のことを忘れていた。
書く必要なかったじゃん……。
まぁ、癖になったから続きを書くけど。
主人公「冷静に考えると、天空都市って誰も住んでないのに何で天空都市なんだ?」
竜人「地下都市と対になっているからな。あと、拙者がやばいと思った実験生物を閉じ込めると思うので、次第に住人は増えていくだろう」
主人公「分かった。お前が住人第一号だあああ!!」