表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/30

8話 71~90日目

 71日目。

 早朝に出発した。王都までは二日かかる。

 これは他の町に寄らない最短距離の場合で、それはつまり今日と明日はずっと馬車だということだ。

 馬車の中は暇でしょうがなかった。


 72日目。

 暇ぁああアアアア!!


 73日目。

 朝に王都に到着。

 今回の社交パーティは明日とのことで、今日はデベエロを探すことになった。

 今回同伴の父上はサウロモネに会いに行くそうだ。

 デベエロはあっさり見つかった。

 図書ギルドで尋ねたら、一発だった。パトロン募集とのことで、俺がパトロンになるといったら、あっさり場所を教えて貰えた。

 デベエロは女の人だった。ビックリした。デベエロっていうのは、ペンネームで本名は違うらしい。

 サインを貰って、俺はパトロンとして白金貨20枚を投資した。

 せめて、もやし戦記は完結してくれと言ったので、たぶんもやし戦記は完結まで書いてくれるだろう。

 もやし戦記の新刊が出るたびに、図書ギルドと連携して商人ギルドの銀行から白金貨20枚が出るようにしておいたので、これで一安心だ。

 自分のペースでいいから、頑張ってくれと言ったら、デベエロは感動してた。

 実は作家を止めて実家の家業を継ごうか考えていたらしい。

 自分の本が誰かの心を動かしていたとは……と色々思うところがあったようだ。

 俺が持っていない本もデベエロ本人に貰い、当分の読書は楽しい物になりそうである。


74日目。

 社交パーティに出席した。

 やはり、パーティは慣れない。

 どこの子供も自分の家の自慢ばかりしやがる。俺が次男だと知ったら、見下してくるし、なんて奴らだ。

 そんなに貴族が偉いのか? お?

 それに俺の家の領地のことを、何もない広さだけの場所とか言いやがって、法衣貴族が調子に乗りおるわ!

 良かったことと言えば、料理がおいしかったことぐらいだ。

 バイキング形式で、冷めた料理ばかりだが、美味しい物は美味しい。

 明日も社交パーティらしく、面倒くさい。

 

 75日目。

 社交パーティで同い年の女の子と仲良くなった。

 どこの家の子か分からなかったが、話題が合うので楽しかった。

 ああいう話が合うやつばかりなら、社交パーティも楽しいのにな。

 俺は友好の証として、ペンダントを渡しておいた。

 最上級回復魔法が込められている魔石が付いたペンダントだ。健康でやれよ、との願いを込めたものだ。

 ペンダントを見て、悲しそうな顔をしていたのだが、何かあったのだろうか。

 もしかしてペンダントにトラウマがあるとか? しくったかもしれない。

 

 76日目。

 今日も社交パーティ。昨日の女の子はいなかった。とても残念。

 そんな訳で今日は、つまらない社交パーティであった。

 料理も主催がケチったのか、あまり美味しくなかったしな。

 いや、見栄えは良かったので、料理の重きを置く方向性が違うのかも知れない。

 俺は美味しさ至上主義だが、たぶん主催は見栄え主義なのだろう。

 

 77日目。

 王都から帰る。

 また馬車の中でずっと暇かと思うと、うんざりだ。

 

 78日目。

 暇ぁああアアアア!!

 

 79日目。

 やっと帰ってこれた。

 今日は固い馬車の中じゃなく、柔らかいベッドの上で寝れる。

 俺は解放されたんだー! 

 

 80日目。

 今日は王都で流行っていた人生ゲームという物を、魔王たちとやった。

 金が絡むすごろくで、実に厭らしい。

 借金システムとかやばいと思う。考えた奴は悪魔だ。

 優勝は冥途さんだ。冥途さんは子沢山で億万長者だった。


 81日目。

 虹色の小鳥が空を飛んでいた。

 晩御飯の時に話したら、皆は見たことないと言っていた。

 俺だけが見ていたらしい、なんか得した気分だ。

 

 82日目。

 森で歩くニンジンを見かけた。

 なんだったんだ? 瞬きしたら、消えていたのでたぶん幻覚だ。

 

 83日目。

 町に流れの魔女がやって来た。

 伝説の植物であるマンドラゴラを探しているらしい。

 辺境の森になら有るかもしれないと思って来たのだとか。

 使い魔の黒猫と遊ばせてもらったが、可愛かった。

 少しペットを飼いたくなったね。

 森の中を案内したが、マンドラゴラの住む環境とは違うらしい。

 土の成分や周りの植生がマンドラゴラの住む環境としてはダメなのだとか。

 マンドラゴラより、俺はゴールデンフルーツを食べたいな。

 魔女は当分はここに滞在するらしい。違う方面の森も調べるのだとか。


 84日目。

 森の中を歩いていたら、竜人と出会った。

 黒い髪の竜人で、邪竜の竜人らしい。

 邪竜と言えば、伝説の竜だ。SSSランクらしく、こいつが世界に現れた時、世界が終わるときだそうだ。

 学者らしく、いろんな研究をしているとか。

 俺を見て、解剖させてくれとか言い出したから、簡易ゴーレムでフルボッコにした。

 ぼろ雑巾の様になりながらも、俺に立ち向かって来るのは恐怖そのものだった。

 念入りにボコボコにした。

 竜人が瀕死になったので、とりあえずエルダーリッチに診察させた。

 エルダーリッチの治療で竜人はあっという間に元気になった。

 そしてなし崩しで、地下都市に住むことになった。

 竜人が俺を狙わない様に、研究施設も作っておいたし、これで大丈夫だろう。

 竜人は知識豊富で、いろんなことを知っていた。

 3000歳らしいし、それに見合った知識人だ。

 今度から、何か分からないことがあったらこいつに聞こう。

 

 85日目。

 兄上の結婚式が開催された。

 兄上のタキシード姿も、ギルエマさんのウェディングドレス姿も良い物だった。

 町の人たちにも、美味しい料理がふるまわれ、俺も満足だ。

 家督も譲られて、兄上は6代目マテリア家当主となった。

 これからは当主としてギルエマさんと頑張っていく所存なのだとか。

 そして、これからは領地中心であんまり社交パーティにでなくていいと泣いていた。

 兄上はずっと社交パーティまみれだったからなぁ。たぶん、このしわ寄せは俺や姉上に来ると思うが。

 何はともあれ、おめでとうだ。

 俺は兄上に宝石製のルービックキューブを、ギルエマさんにはオリハルコンの盾をプレゼントした。

 二人とも喜んでくれたようで、よかった。

 幸せに成れよ、兄上、ギルエマさん。


 86日目。

 竜人は何を研究しているんだ? って聞いたら、気になること全部って言われた。

 何でも研究しているらしい。一応の専門分野は魔法学って言っていた。

 俺の保有している魔力量が生物としておかしい、とまた解剖されそうになったので、フルボッコにした。

 懲りないやつだ。

 でも、研究施設のおかげで研究がはかどると俺に感謝もしていた。

 良き隣人……なのかなぁ?


 87日目。

 森でデススコーピオンと出会った。黒い殻のサソリだ。尻尾に毒があり、その毒は量は少ないが、ニーズヘッグの毒に相当する。

 適当に始末して、箱に入れて、地下都市の倉庫にしまった。

 何かの役に立つ日が来るといいな。

 

 88日目。

 地下都市で果実の収穫をして過ごした。

 果実の収穫は殆どがゴーレムがやってくれるのだが、俺も果実を収穫したいので、残してもらっているのだ。

 己の手で収穫した果実は何故か、いつもより美味く感じる。

 

 89日目。

 竜人が、俺の作った魔石をふんだんに使って実験した結果、とんでもない魔法陣を生み出した。

 その魔法陣は名付けて、神罰という。

 理論上は一撃で月を砕くらしい。なんてものを開発しやがったんだ……。

 どれだけ一つの魔法陣で魔法の威力を上がれるのか、気になった結果らしいが、やってくれたな。

 竜人は多重立体魔法陣にして更なる魔法の威力を……とか言っていたのでフルボッコにして止めさせた。

 次そんなことし始めたら、お前に向かって神罰を撃つぞ、と脅した。

 ガクブルしていたが、三日もあれば恐怖を忘れるだろう。

 そんな奴なんだ、竜人は。


 90日目。

 フルーツサンドという物を食べた。

 パンに果実を挟むらしい。

 果実はそのまま食べるばっかりだったので、この組み合わせは俺の発想になかった。

 屋台で売ったら大儲けできそうだ。

 今度、屋台を始めようと悩んでいる奴に教えてやろう。

 


主人公「兄上、結婚おめでとう!」


兄上「ありがとう! これからは、俺の代わりに社交パーティで頑張ってくれよな!」


主人公「うああああああ!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ