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6話 51~60日目

 51日目。

 森で爺さんと出会った。

 爺さんの後ろには、メイド服を着た青白い人がいた。

 おそらく爺さんはネクロマンサーでメイド服の女性はアンデッドだ。

 ネクロマンサーは世の中に災いを呼び起こすと言われている。

 死者と生者の境界線をあいまいにし、もたらすのは死だけなのだとか。

 なので、簡易ゴーレムを作ってフルボッコにした。

 アンデッドとはいえ、メイドさんを狙うのは気が引けたので、元凶だろう爺さんをずっとボコボコにしていた。

 メイドさんが泣いて止めてくるし、爺さんが漏らして失禁していたので、ぶっ潰すのは止めた。

 爺さんが気絶している間に、何者なのかを聞くと、爺さんは2000年前から生きているエルダーリッチだそうだ。

 やべぇじゃん。ネクロマンサーなんか、カスになるほどの災いだ。SSランクのモンスターだぞ。

 俺は爺さんを始末しようと思ったが、メイドさんに号泣されて止められると、とどめはさせない。

 聞けば、定住の地を探して旅をしているらしいので、地下都市に案内した。

 途中で起きたエルダーリッチの爺さんは伏魔殿を見せると、甚く気に入り、今までの愚行を許してやらんでもない、とかいいやがった。

 あ? 愚かな俺が愚行を犯してやろうか? と言ったら、調子に乗るのはやめるからフルボッコは止めてくださいっと土下座した。

 エルダーリッチも死は恐いらしい。

 取りあえずだが、魔王とエルダーリッチは気が合う様で良かった。

 エルダーリッチも食事をするようで、地下都市で育てた野菜の料理で仲を深められたのが大きい。

 エルダーリッチは伏魔殿を永住の地とし、此処で暮らすそうだ。

 地下都市が怪物の住処になって来たな……マジで、王国にばれたらどうしよう……。


 52日目。

 エルダーリッチの様子を見に行ったら、お前世界を滅ぼす気か? とのひとこと。

 なんでも、ノワールゴーレムを見たらしい。

 何かあった時のためっていったら、神との戦争か? と言われた。

 そんなことするわけないだろ! 俺はただの人間だぞ、神に勝てる訳ないだろ!

 ていったら、白い目でみられた、何故だ。

 エルダーリッチの白い目はどうでもいいが、メイドさん、いや家のメイドと被るから、冥途さんと呼ぼう、冥途さんに白い目を向けられたのは納得がいかん。

 それと、エルダーリッチがグレーターデーモンの標本を見て、ぜひアンデットにしたいっていってきた。

 執事にしたいらしい。グレーターデーモンの執事は俺も見てみたかったので、許可した。

 グレグレとグレーターデーモンは名付けられて、俺に忠誠を誓っていた。

 取りあえずエルダーリッチの世話と監視を頼んでおいた。

 

 53日目。

 兄上がドラゴンスレイヤーを嫁にして帰って来た。

 ドラゴンスレイヤーのギルエマさんは、俺も見惚れるような美人で、兄上が羨ましくなった。

 兄上はギルエマさんにいきなり求婚して振られるも何回もアタックして、結婚にこぎつけたらしい。

 ギルエマさんが結婚するなら私よりも強い奴が良いと思っていたらしいのだが、兄上の熱いプロポーズの連続に負けたらしい。

 やるな! 兄上は俺と同じで剣などからっきしだから、よくやったと思う。

 ギルエマさんにはぐれ竜のことを聞いたら、仲間と力を合わせてたまたま狩れたと言っていた。あれは死闘だった……と遠い目をするギルエマさんも美しかったね。

 その日は、結婚式の段取りとかのことで屋敷は大忙しだ。

 さらに、結婚と同時に父上が家督を譲るらしい。

 結婚は一か月後を予定。ちょっと急なのは、結婚に異議申し立てをさせないためらしい。

 ギルエマさんは平民だからね、まぁ、しょうがないね。

 何はともあれ、兄上には幸せになってほしいものだ。

 いままで苦労してきたからなぁ、兄上は。

 一か月後のプレゼントを考えておくか。


 54日目。

 ギルエマさんに、剣の稽古を見てやろう! って言われて、強制稽古をした。

 剣はダメダメで、ギルエマさんにも剣筋が成っていないって言われた。

 しかし、俺には魔力がある。魔力を使っていいかと聞いて、いいよっていわれたので、強化した身体能力でごり押ししたら、ギルエマさんに勝ってしまった……。

 ばれると面倒くさいので、今日のことは二人の内緒だ。

 ギルエマさんははぐれ竜を倒して浮かれていた、今日のことはいい機会だった、と言ってくれた。心まで武人でかっこいい。

 

 55日目。

 二日間、ギルエマさん関連でずっと屋敷にいたので、町に出ると町人に質問攻めにされた。

 皆、ドラゴンスレイヤーのことが気になるらしい。

 俺は質問に答えて、あっという間に時間が過ぎた。

 今日はそれだけ。


 56日目。

 三日ぶりに地下都市に来た。

 相変わらず地下都市は美しい。

 宝石の花、真っ白な王城、金と銀の時計塔、虹色の橋、妖精の像、心安らぐ音楽。

 いつきても、ここは良いものだ。

 魔王とエルダーリッチたちと採れたてのハーブで作ったハーブティーを飲んで過ごした。

 ついでにエルダーリッチたちにマクラス教をおすすめしておいた。

 

 57日目。

 日中、ずっと雨が降っていたので、書くことがない。

 ギルエマさんが母上とゼロックスで勝負していたが、いい勝負をしていた。

 ギルエマさんは脳筋だと思っていたから、意外だった。

 勝ったのは母上だ。さすがだな。


 58日目。

 エルダーリッチとゼロックスをした。2000年生きているから、強いだろうと思ったら、俺と同じくらいだった。

 聞いたら初めてやるらしい。暇だからとずっとやらされてうんざりした。

 冥途さんいわく、ご主人様はボードゲームが大好きなのだとか。

 違うボードゲームだが、世界王者に勝ったこともあるらしい。

 一週間で極めてみせるぞ、といっていた。

 二戦もすれば、一切歯が立たなくなったのでマジだと思う。

 途中から冥途さんとやっていた。冥途さんは滅茶苦茶強かった。

 この二人なら、一週間もすれば母上に勝てるのかな?

 

 59日目。

 森の中でバッタを捕まえる姉上にバッタリ出会った。

 ……うん、そんぐらい。


 60日目。

 ふと気になって、姉上に結婚はしないのか聞いてみた。

 13歳だし、普通の貴族なら婚約位はしているものだ。

 そしたら、好きな人はいるが父上は認めてくれないだろう、っていってた。

 マジで? どんな人なのか聞いたら、虫研究家の同士なのだとか。

 その言葉で、俺は誰か察した。

 町の宿屋のボンクラ息子、ロッグだ。あいつは今年で15歳になり成人したのに、碌に宿屋の手伝いをしない……と町でも有名な奴なのだ。

 今は渡り蜂の研究をしている、と姉上。

 姉上とロッグの結婚は難しいだろうなぁ。兄上がギルエマさんと結婚できたのは、ドラゴンスレイヤーだったからだ。

 竜を狩ったとなれば、かなりの名誉で下手な貴族より発言力がある。

 権力とかではなく、物理的に力があるからな。

 それにこの辺境では武人の価値は高い。いつどんなところで強大な魔物がでるか分かったもんじゃないし。

 それにくらべてロッグは何の功績も、いっちゃ悪いが価値もない。どこかの貴族の養子にして貰って結婚という手も、功績も価値もなければ無理だ。

 そもそも貴族の養子にして貰って結婚の場合は、養子にして貰った貴族に借りを作って結婚することになる。

 貴族の結婚の本懐は縁の強化だというのに、弱体化するという訳だ。

 それだけの価値がロッグにあればいいがなぁ……あいつの今の立場って、虫の研究レポートをまとめた本を出版している根無し草だし。

 無理だろうなぁ……。今のうちにイチャイチャして満足するしかないと思う。

 姉上が何としてでも結婚する! という感じでないのが幸いか。

 


主人公「兄上! ドラゴンスレイヤーを口説き落とすなんて、さすがだぜ!」


兄上「ああ! そうだろうそうだろう」


主人公「ギルエマさんは平民だから、今後の社交パーティとかで色々負担が増えるかもしれないけど、さすがだぜ!」


兄上「!!」




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