4話 31~40日目
31日目。
森に行ったら、グレーターデーモンというのがいた。
最上級のデーモンで、牛の頭に筋骨隆々な体をしていてかっこいい。
なので首を刎ねた後、強化ガラスで包んで剥製? 標本? にした。
いや~、俺も姉上のことをひどく言えないね。
地下都市に飾ったら、魔王が驚いていた。
グレーターデーモンは中級の竜よりも強いらしく、魔王でも一撃では倒せないと言っていた。
魔王ってもしかして、あんまり強くないのか?
32日目。
空を眺めていたら、虹色の小鳥を見かけた。
珍しいこともあるもんだ。
今日は特に書くことはなく、それくらい。
33日目。
森で採取をしていたら、歩くダイコンを見かけた。
何だったのだろう? 幻覚か?
34日目。
兄上が疲れた顔で家に帰って来た。
何でも父上にそろそろ結婚相手を決めろ、言われたらしい。
俺の家は辺境伯で無駄に領地が広い、だから権力も高く公爵の次に偉い。
なので、利権目当ての奴が兄上に群がる。
兄上はどうにかして、真実の愛を見つけられないか? と悩んでいた。
じゃあ、群がってくる奴に結婚してもいいけど実は実家に借金があって……と言ってみたらどうかといった。
ナイスアイデア! と兄上ははしゃいでいた。マジでやるつもりか? 借金関連の変な噂が流れたらどうするつもりなんだろう。
まぁ、この程度で兄上が良い嫁を見つけられるのなら、変な噂ぐらいどうってことない。
良い嫁見つけろよ、兄上。
35日目。
王都ではぐれ竜が出て、倒されたらしい。
新たなドラゴンスレイヤーの誕生! ってデカデカと新聞に書いてあった。
はぐれ竜程度で、ドラゴンスレイヤーになれるのは意外だった。
はぐれ竜程度なら、十匹は倒したんだけどな……。
ドラゴンスレイヤーの名前は、ギルエマ。新聞を見る限り爽やかイケメンだ。
兄上とどっちがイケメンで軍配が上がるかな?
町の娘たちは、ドラゴンスレイヤーの話題で盛り上がり、ミーハーな母上が夕食の時にドラゴンスレイヤーの話をずっとしていた。
ちなみに姉上は虫以外のことは興味がなく、ドラゴンスレイヤー? なにそれ、おいしいの? 状態だった。
父上と兄上が今度、王都に行くときに、ドラゴンスレイヤーに会えればいいねって話していた。ドラゴンスレイヤーねぇ……。
36日目。
町で喧嘩が起った。
そのついでに、町人ステゴロトーナメントが行われた。
事の発端は、酒場の娘が強い男が好き、といったことだ。
俺は強い、俺の方が強い、だったら喧嘩するか? ということになり、じゃあトーナメントしようぜ、ということになった。
領主の息子たる俺が何故か、指揮を執ることになり、トーナメントが開かれた。
俺も興味本位で参加した。
優勝した。
ぶっちゃけ、町人たちは強くなかった。俺が貴族の息子だからと遠慮するものもなく、実力で優勝だ。
俺が優勝できたのには、理由がある。
魔力量が半端ないからだ。
人は魔物に比べて、力が弱い。
そのために魔力を纏って、身体を強化する。
俺はオリハルコンを作れるほど魔力があるので、魔力ありなら拳の一撃で地震を起こせる。
俺が負けるはずなかったのだ。
酒場の娘は流石に10歳の領主様の息子はちょっと……と言っていた。
何でも優勝者には酒場の娘のキスが送られる予定だったらしい。
なるほど、殺気だって喧嘩していた理由が分かったものだ。
37日目。
前にパインを持ってきた行商人が帰って来た。
今回はホットチーズという物を持ってきた。
とある部族の特産品で、赤い香辛料をチーズに混ぜた物だ。
うまい! うますぎる! チーズに香辛料を入れる発想はなかった。
きっとこれはワインに合う。元のチーズでさえ、合うと父上がおつまみに毎回選んでいるのだ、合わないはずがない。
俺が15歳になったら、このホットチーズでワインを飲もう。そう誓った。
行商人には、またもやチップ白金貨20枚を渡し、珍しい物が手に入ったら来てくれ、と言っておいた。
あー、次はどんな物を持ってくるのだろうか? 今から楽しみだな。
38日目。
本屋に新しい本が入荷した。
もやし戦記の作者であるデベエロの本はなかった。残念。
おすすめの本はないか? と店主に聞いたら、ゴールデンスタッグの生態って本が面白いって言われた。
姉上が書いた本じゃん……。
それは姉上が書いた本なんだぜ、っていったら店主は驚いていた。
作者を見て、確かに本当だと、呟いていた。
今回は面白そうな本はなかったので、歴史書を買って本屋を出た。
歴史書は今の時代を知らない魔王用だ。
魔王はありがとうといっていた。そういや、こいつの名前を俺は知らない。
ずっと魔王と呼んでいるが、何て言う名前なんだろうか。
39日目。
魔王に名前を聞いたら、魔王だから名前はないって言っていた。
なので、俺が適当に付けた。
ゼレキアス・アットフォールンが魔王の名前になった。
もやし戦記の敵役の名前だ。ちなみにとうもろこしだ。
魔王は喜んでいた。我のことはゼレキアスと呼ぶがいい! と言っていたが、長くて呼びにくかったので魔王と呼んだ。
そしたら、しょげていた。面倒くせぇ。でも俺は呼びやすいから魔王って呼ぶ。
40日目。
今日は魔王が地下都市のため池の魚を捌いてくれた。
魔王が捌いた魚は誇張なく、他の魚よりおいしかった。
なんでかな? 思ったら、俺の与えてる餌が原因らしい。
そうか、食べてるものによってうまさが変わるのか。
ぶっちゃけ、前に食べた魔グロよりため池の魚は美味しかった。
俺は、俺の土魔法で食べ物となるものを育てることに決めた。
魚は今まで通り、植物は超栄養満点肥料を使って育てることに。
ちなみに全部やるのはゴーレムと魔王だ。
ゴーレムが作業する人で、魔王が監督官だ。
旨い野菜が出来るといいな。
魔王「僕の名はゼレキアス・アットフォールン!」
主人公「なお、元ネタはトウモロコシの模様」




