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21話 201~210日目

 201日目。

 もやし戦記の続きが読みたい。しかし、この前に新刊が出たばかりだから、それはあり得ない。

 なので、自分で何か物語を書いてみることにした。

 いざ書いてみると、全然ペンが進まない。いつも日記を書いているから、文字を書くことに詰まることはないが、序盤を書いては気に喰わなくて消し、書いては消すを繰り返してしまう。

 なので、思い切って書いたものは消さない方法をとることにした。

 黙々と書き、物語を進める。内容はカエルと蛇とナメクジのハートフルストーリーだ。

 日記を書くのもこの辺にして、続きを書こうと思う。大作を書くぞ!


 202日目。

 大作が完成した。3万文字の中・短編だ。

 さっそくフューリに読んでもらったが、フューリは途中でギブアップした。

 何でも読んでると、吸い込まれそうになって頭痛が走るらしい。

 この現象に似たようなものを俺は知っている。

 すぐさま俺は父上にこの短編を読ませた。

 父上は感動していた。父上が文章を読んで感動するなんて、普通はあり得ない。

 やはり、サウロモネ現象が起こっている。

 すぐさま燃やそうとするも、父上に止められた。

 勿体ないと父上は言うが俺からしたら、完全に禁書だ。

 これは消さなきゃいけない。人類の損失、負の遺産だ。

 しかし父上が隙を見て俺の手元から、短編を奪い取り、別館に放り込んでしまった。

 別館は魔の巣窟。いくらウサギよりはマシと言っても、それは拷問されて死ぬならどの方法がいい? と聞かれて、こっちと答えている様なものだ。

 絶対に行きたくねぇ。俺は回収するのを諦めた。

 

 203日目。

 伝説のうまうまモンスターというのがこの世には存在するらしい。

 その味はとても美味で旨いのだとか。この世界で一番おいしいという意見もあるらしく、俺はどうしても食べたくなった。

 伝承では近くの魔物が出る方の森にいるらしいので、探しに行こう……としたが、フューリに止められた。まだ10歳なんだから、いくら強くても心配かけるので行かない方がいいと言われた。

 確かにそうだ、なので地下都市ファミリーの面々に行って貰うことにした。

 魔王、エルダーリッチ、竜人、吸血鬼、のお決まりメンバーだ。

 うまうまモンスターはすごくおいしい、という事は伝わっているのだが、その姿は伝わっていない。

 そう言う訳で、天空都市の機能は使えず、手探りという訳だ。

 俺は四人を見送り、屋敷で天空都市と交信する端末を持って待機した。

 五時間経っても連絡がなく、現在日記を書いている間も連絡がない。

 どうなってんだ? でもあの四人なら大丈夫だろう。いざとなったら、天空都市もメビウスゴーレムもある。

 明日にはきっとうまうまモンスターを狩ってきてくれるさ。


 204日目。

 地下都市に行ったら、四人が満身創痍で床に寝そべっていた。

 俺は急いで、エルダーリッチから貰った魔石で回復させた。

 傷はすぐに治り、俺の魔力を注いで体力や血なども強引に全回復だ。

 そして俺は何があったのか、四人に聞いた。

 それによると、森に行き伝説のうまうまモンスターを探している最中、竜人が異常な周波を感知、そのまま黒い霧のような何かと戦闘になったらしい。

 黒い霧は闇魔法を巧みに使い、四人を攻撃してきた。

 魔王が相殺し、エルダーリッチが光魔法で攻撃、竜人が解析し、吸血鬼がサポート、という役割で戦い、激戦を繰り広げる。

 その戦いは夜が明けても続き、ついさっきまで戦っていたらしい。

 解析ができるまで、光魔法が効く以外は何も分からず、天空都市の力でさえ、黒い霧は殺せなかった。

 そして解析の結果、こいつは皆既日食の時に現れたもので、次元の違う怪物らしい。

 何とか隙を見てメビウスゴーレムを呼び出せなければ、確実に四人は死んでいたと言う。

 そういうことで、四人は何とか黒い霧を討伐し、帰って来て力尽きたのだとか。

 うまうまモンスターじゃなくて黒い霧が残した黒い粉はあるけど、食べる? と聞かれたので、首を横に振って断った。

 さすがにそのレベルの魔物は食べたくない。

 絶対、体に異常が出るに違いない。

 四人は死を覚悟したと、語っていた。

 竜人は調査を続け、今後はこのような事を起きないようにする様だ。

 俺は四人のために何かしてあげたかったので、料理を作った。

 普通って言われたのが癪に障ったがな!

 とにかく元気で良かったぜ。


 205日目。

 地下都市ファミリーでギャンブルをやった。

 気軽にトランプだ。

 やったのはポーカー、互いにクッキーをチップ代わりに掛け合い、クッキーを奪い合った。

 ポーカーはフューリとエルダーリッチが強すぎる。実力が関与する部分もあることは分かっているが、それでも理不尽なぐらい強い。

 一番チップとして価値が低いのがアーモンドクッキー、その次に砂糖をまぶしたシュガークッキー、最後にチョコクッキーをチップとしたのだが、チョコですらすぐになくなった。

 優勝は僅差でエルダーリッチ。年の功じゃ、と言っていた。

 クッキーはその後、再分配された。エルダーリッチはたべきれんから、らしい。

 クッキーは魔王が作っていたので、とても旨い。

 ちなみに、ドベは俺だった。

 別に悲しくないぞ、悲しくないから!


 206日目。

 姉上がまた虫を食べていた。

 食べていたのは蜘蛛で、味がクリーミーなのだとか。

 例え味が美味しくても、蜘蛛は食べる気になれない。

 サソリもクリーミーとか言っていたが、姉上はサソリも食べたことがあるのだろうか。

 蜘蛛もそうだが、サソリとか毒があるんではなかろうか。

 そう聞くと、毒のない奴を選んでいるから大丈夫とのこと。

 うん、大丈夫ならいいか。


 207日目。

 メイドの間で恋愛が起っているらしい。廊下でキスして、仕事をサボっていたので、母上に怒られていた。

 メイドに聞くと、庭師の男とメイドさん、家庭教師のおっさんとメイドさんがカップルになっているらしい。

 二組もあるのか。俺達も合わせれば三組だな。

 そういえば、俺とフューリはまだキスとかできておらず、手をつなぐぐらいの健全なお付き合いだ。

 いつか、キスできる日が来るのだろうか……。

 

 208日目。

 ベルゼブブモスキートという奴と森の中で出会った。

 でっかいハエと蚊の融合体みたいな奴で、かなり素早く、中々攻撃が当たらない。

 フューリを危険な目にあわすかもしれないし、天空都市でちゃちゃっと始末した。

 帰った時に、姉上にこういうのも興味あるのか聞いたが、興味はないらしい。

 魔物の虫と小さい虫は、姉上的に全然違うのだとか。

 やっぱり、こだわりがあるのかと思い知った。

 深く聞くと違いについてずっと語られそうなので、すぐに逃げた。

 虫とか関わらなくても問題ない!


 209日目。

 魔王がポテトチップスという物を作って振る舞ってくれた。

 これは革命的なお菓子だ。甘くないのに美味しくて、ガンガン食べられる。

 俺は甘くないお菓子なんて知らなかったから、衝撃を受けた。

 屋敷に持って帰ったら、兄上が嵌っていた。

 バクバク食べたせいで夕食が手に着かず、兄上は当分三時のお菓子を禁止された。

 ポテチは悪魔的だ。俺も地下都市の美味しい料理を食べ過ぎないように、気を付けないと。


 210日目。

 昨日の今日で俺の中に虫歯が発見される。

 回復魔法で簡単に治ったが、普通はこうはいかないと魔王に厳重注意された。

 ハミガキをもっと丁寧にやることと、三日間のお菓子の禁止令がでた。

 ちくしょう。

 お菓子は魔王が作ってくれるから、そこで止められたらどうしようもない。

 もし、回復魔法が無かった場合の治療法を聞いて、俺はお菓子禁止令に甘んじた。

 最悪の場合、歯を抜くって拷問じゃん。ガクブルです。

 そして、地下都市ファミリーの全員に虫歯があるか検査されたのだが、竜人と吸血鬼が引っ掛かった。

 当然お菓子禁止だ。ブーブー文句を言っていたが、歯を引っこ抜く代わりにお菓子食べてもいいよっと言うセリフで押し黙った。

 みんな、歯を抜かれるのは恐いらしい。

 エルダーリッチは旅に出かけているからいいが、魔王とフューリは俺の前でも容赦なくお菓子を食べるだろう。

 こんなことなら、もっとハミガキしていればよかったぜ。

 


主人公「地下都市ファミリーのヒエラルキーが決まったな」


フューリ「胃袋を掴まれたら、負けって奴だね!」


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